大切な人の席【江戸川乱歩】

11席 ページ13

Aside

剥ぎ取られた布団にまたくるまり、縮こまる

乱歩は、僕のベッドの近くの椅子に座った

「何してるの？」

「籠城してるの」

今、顔をしせたら揶揄われる

「ふぅん…折角、ラムネ分けてあげようと思ったのにな〜…えい！」

「あー！僕の布団！」

取り返そうとして、振り向く

ばっちり目が合う

やばっ…まだ顔の赤いの収まってない

「ふぁっ」

揶揄われる

と思ったのが、何故か乱歩も顔が赤く

「かわ…何でもない」

「そっ、か。布団返して」

やだと云い後ろに隠す

そ、それは…


＿＿＿＿
乱歩side

Aが顔真っ赤にしてた

こっちまで移っちゃうじゃん

思わず本音が零れそうになるし…

本人は布団を返して欲しいと云ってるが、返したらまたくるまっちゃうでしょ？

実を云うと、未だ顔真っ赤にしてる姿見てたいし

自分の後ろに隠してやだと云った

「それは酷い…」

予想もしてなかった

涙目でそう云ったA、ちょっとやりすぎちゃった…かな？

「ごめんね？ほら、布団だよ」

Aを布団で覆いラムネ菓子をAの手に出す

Aは、黙って僕がラムネ菓子を出しているのをじっと見ていた

「ん、美味」

栗鼠の様に一粒一粒口に放り込んでいる

少し子供っぽい

…少し関係ないのと云うけど

医務室の扉の向こうでナオミと与謝野さんと太宰が見てるのバレバレなんだよなぁ

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