音がふたつ ページ41
◆◇
『勘違いしないで、私達鬼殺隊は神様じゃない。同じ人間だ。怪我すれば痛いし、斬られた腕や無くした目が元に戻ることは無い』
男の胸倉を掴みながら、神羅が言葉を続けた。
『それでも宇髄さんや鬼殺隊はね、鬼と戦うんだよ。罪なき人が命を失うことが嫌だから……それを余計なお世話って言ったこと今すぐ取り消せ!!』
なんで、お前がそんなに怒るんだよ。可笑しいだろ。
「もういいから、離してやれ"A"。怒ってくれるのは有難いが、俺は慣れてるから」
俺がそう言うと、Aはきっと睨んだ。
『無理です!こっちは毎日死ぬかもしれない恐怖と戦ってるのに!!返せ、私の無けなしの勇気と優しさ!!』
あーもう、鬼と戦うとか本当無理ぃ……!と半泣きになりながら蹲るA。
……オイオイ、これがさっき威勢よく鬼を煽ってた奴と同じ奴かよ。
「じゃあ、どうしたらいいんだよ……?!俺はこれからどうしたらっ」
『知らん!!それくらい、自分で考えろ!!』
もう、辞めてやれよマジで。男の方、別の意味で泣きそうになってんぞ。
『人に自分の生き方決めさすな!!生きてるんだから、これから何でも出来るでしょうが!!』
「なん、でも……」
男がAの言った言葉を、反復した。
ゆっくりと噛み締めるように、何度も。
それから、暫くしてから男はゆらりと立ち上がると俺の方へと歩いてきた。
「助けて貰ったのにあんな酷いことを言ってすみませんでした。あの、助けていただいて……ありがとうございます」
目に涙を浮かべながら、男は笑った。
「ハッ!このくらい大したことねーよ」
俺の言葉に、男は安心したような顔をするとゆっくりと歩き出した。
『……え、私にお礼はないの?!鬼斬ったの私なのにっ!!』
腹立つ!と地団駄を踏む姿はガキそのもの。
本当、変な奴。あの生の呼吸を使う癖に泣き虫で、臆病で
__「何故かAといると、落ち着く!心が暖かくなるのだ!!」
上下関係に煩い煉獄が、柱でもない女に下の名前を呼ばせていたことがずっと不思議だった。
こんな、弱そうな女にそんな価値あるのかってな。
だが今ならわかる。こいつの言葉は暖かい。ほんの少しだが、お館様と似ている。
『てか、さっきから宇髄さんなんで私のこと名前で……?』
「宇髄さん、なんて地味な呼び方してんじゃねぇよ!派手に天元と呼べ!」
なぁ、煉獄。派手な訳じゃねぇが……俺も、こいつが気に入ったぜ。
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ちょこもち(プロフ) - RiXDiQRqwJmNoA0さん» コメントありがとうございます。善逸ってめちゃくちゃ可愛いですよね!可愛い善逸目指して書いているのでそう言っていただけると嬉しいです! (2019年11月17日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
RiXDiQRqwJmNoA0(プロフ) - 善逸の結婚しようから夜中に奇声を発していました、なのに!なんなんですかこのかわいさ!もはや最高です。 (2019年11月17日 22時) (レス) id: 38913fc6bb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - わろちさん» 夢主は普通の高校生からのトリップなので、まぁ…すぐ腕おられますよね笑ありがとうございます (2019年6月29日 9時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
わろち - 簡単に腕折られてて笑った。おもろいけどさ (2019年6月29日 0時) (レス) id: 1a2b7bb68b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - アイスクリームさん» すみません!私も更新した後に気づいて、全て続編の更新と共に直す予定です。本当にすみません! (2019年6月26日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年5月31日 22時