音がひとつ ページ40
宇髄side
俺は、派手な事に関しては得意だが人を救うのはどうも苦手だった。
どれだけの命が俺の手の間から零れ落ちたことか。
今回だってそうだ。俺が駆けつけた時には既に、
「あぁっ……目を覚ましてくれ!どうして……!」
人が鬼に喰われた後だった。
恐らく女房であろう肉の塊を抱きしめながら泣く男と鬼がいた。……あぁ、俺はまた間に合わなかったのか。
鬼を斬ろうとしても、泣いている男を庇いながらだと激しい技も出せず何故か鬼の攻撃は隊服を斬り裂いてくる。
この男を見捨てれば、直ぐにこの鬼なんて斬れる。だが、男一人さえ守れない様な奴にはなりたくなかった。
せめて、目の前にある命くらいは救いたかった。
それからは、あっという間だった。
泣き虫で、鬼の首なんて斬れないと思っていたが神羅が鬼の首を斬った。
一瞬、だった。俺でさえ、目の端で影を捉えるのが精一杯だった。
「天元様!!大丈夫ですか?!」
普段とは違う神羅に驚いていると、雛鶴達が駆け寄ってきた。手当てされるいると、後ろから先程の男が叫んだ。
「あのまま死なせてくれよ!!……なんで俺だけ生きなきゃいけねぇんだよ……っ」
男の悲痛な叫びが痛かった。
俺を鋭く睨みつけるその目は、なんで救ってくれなかったんだという憎悪が見えた。
だから、のうのうと生きている一般人共は嫌なんだ。どれだけこちらが命をかけて守っても、こんな風に責めたりする奴がいる。
「ちょっと!!天元様は、貴方を守って」
『……じゃあ、今すぐその首斬ってやるからそこに座りなよ』
地を這うような低い声がまきをの言葉を遮る。あまりの気迫に一瞬、誰かわからなかった。
神羅は男を鋭く睨みつけると、スラリと刀を抜いてその首に当てた。
「おいっ!!神羅!」
『止めないでください、宇髄さん。死なせてくれよだって?貴方がいらないと言ったその命は、誰かが欲しくて欲しくてたまらなかった命だ』
流石に、一般人に危害を与えるのは不味いだろ!!神羅に辞めるよう怒鳴るが、いつものヘラヘラした顔は嘘のように張り詰めていた。
『生きていられることが尊いことだと……その価値さえ分からない奴が私はこの世でいちばん嫌いだ』
黒いその瞳は、怒りで燃えていた気がした。
『宇髄さんは貴方を助けるため命をかけた。それがどれほど凄いことか、なんでわからない?!』
その言葉に気づいた。
こいつは、俺のために怒っているんだと。
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ちょこもち(プロフ) - RiXDiQRqwJmNoA0さん» コメントありがとうございます。善逸ってめちゃくちゃ可愛いですよね!可愛い善逸目指して書いているのでそう言っていただけると嬉しいです! (2019年11月17日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
RiXDiQRqwJmNoA0(プロフ) - 善逸の結婚しようから夜中に奇声を発していました、なのに!なんなんですかこのかわいさ!もはや最高です。 (2019年11月17日 22時) (レス) id: 38913fc6bb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - わろちさん» 夢主は普通の高校生からのトリップなので、まぁ…すぐ腕おられますよね笑ありがとうございます (2019年6月29日 9時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
わろち - 簡単に腕折られてて笑った。おもろいけどさ (2019年6月29日 0時) (レス) id: 1a2b7bb68b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - アイスクリームさん» すみません!私も更新した後に気づいて、全て続編の更新と共に直す予定です。本当にすみません! (2019年6月26日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年5月31日 22時