花弁がにじゅうに ページ26
◆◇
「驚くべきところはそこじゃない。手紙によると、Aは教えてもいない生の呼吸を自然と使えたんだ」
これは、後々知ったことだけど生の呼吸は使える者は華咲さんしかいなかったせいで人を選ぶ呼吸と言われていたらしい。
「この子は、正真正銘生の呼吸に選ばれた才ある者だよ」
怖くて仕方ないけど、才ある者だと言われると悪い気はしない。
「そこで本題だ。君には、暫く柱の仕事の補佐についてほしい」
『……え、えぇっ?!』
無理無理!!柱の仕事なんて、藤襲山にいた雑魚鬼の比にならないくらいのヤバい鬼がいるに決まってる!!
絶対死ぬ!あと、正直不死川さんとか伊黒さんと上手くやれる気がしない…!!
「本当は、才ある君には柱の継子になってほしいんだけど……君は生の呼吸を使っているからね。なるべく多くの呼吸を見ていた方がいいと思うんだ」
『で、でも私生の呼吸っていっても使えるのは弐ノ型までですし』
「なおさら、柱の仕事につくべきだ。生の呼吸は、多くの呼吸の派生から出来ている。より多くの呼吸を見る程、君はきっとその呼吸を使いこなせるようになる」
だ、だからって無理ぃ……!わざわざなんで死にに行くような場所にいかなきゃ行けないの?!
「A、死ぬのが恐ろしいかい?」
なにも答えない私に、優しくお館様は問いかけた。
『……っ、はい』
「ハッ!!死ぬのが恐ろしいだァ?!そんな奴はなァ、さっさと鬼殺隊辞めなァ」
少し離れたところで、不死川さんが馬鹿にしたように鼻をならして言った。
そうだよね。鬼を相手にしている鬼殺隊は、死を覚悟することが当たり前。
死を恐れる、なんて愚行の何物でもない
「君は、何故死ぬことを恐れるんだい?」
『死ぬって、何も無くなることだと思うんですよ。その人の声も、匂いも、顔も、名前さえいつしか皆思い出さなくなって忘れていく。死んだ人に、これからという未来は一生訪れないんです』
そんなの悲しすぎる。
誰にも思い出されることなく、その場にいたことさえ証明できなくなっていく。
記憶の片隅で、いつしか花が添えられなくなった"あの人"の墓を思い出した。
『死さえ、恐れなくなってしまったら私達いよいよ人じゃなくなると思うんですよ』
そこまで言って、気づいた。しまった……!言いすぎた!!
「A」
不意に名前を呼ばれ、顔を上げた。
「君はこれから強くなれるよ」
お館様は、とても優しい笑みを浮かべていた。
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ちょこもち(プロフ) - RiXDiQRqwJmNoA0さん» コメントありがとうございます。善逸ってめちゃくちゃ可愛いですよね!可愛い善逸目指して書いているのでそう言っていただけると嬉しいです! (2019年11月17日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
RiXDiQRqwJmNoA0(プロフ) - 善逸の結婚しようから夜中に奇声を発していました、なのに!なんなんですかこのかわいさ!もはや最高です。 (2019年11月17日 22時) (レス) id: 38913fc6bb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - わろちさん» 夢主は普通の高校生からのトリップなので、まぁ…すぐ腕おられますよね笑ありがとうございます (2019年6月29日 9時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
わろち - 簡単に腕折られてて笑った。おもろいけどさ (2019年6月29日 0時) (レス) id: 1a2b7bb68b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - アイスクリームさん» すみません!私も更新した後に気づいて、全て続編の更新と共に直す予定です。本当にすみません! (2019年6月26日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年5月31日 22時