花弁がろくじゅうに ページ27
◇◆
お館様の言葉に一瞬、ざわめきが起きたが直ぐにそれぞれが意見を述べた。悲鳴嶼さん、天元さん、伊黒さん、杏寿郎さんは反対している。勿論、
「鬼を滅殺してこその鬼殺隊。竈門・冨岡両名の処罰を願います」
不死川さんもだ。不死川さんの言葉に、後ろで伊黒さんがそこの女もだぞ。と言ったのは気の所為だと信じたい。
お館様は皆の意見を聞いてから、隣にいた女の子に手紙を読ませた。ゆっくりと読まれるその文は、鱗滝さんが禰豆子を連れていくことの許しを求めるもの。
「"鱗滝左近次冨岡義勇が腹を切ってお詫び致します"」
それは、禰豆子ちゃんが人を食わないという証明に2人の命をかけたということ。冨岡さんの方を見れば無表情でその心情は伺えないが、
(やっぱりこの人も優しい人だ)
禰豆子ちゃんと炭治郎を想い、2人を生かすために全力を尽くしているのは間違いない。ーー私にはめちゃめちゃ冷たいが。
けれど、不死川さんと杏寿郎さんは認めてくれない。それだけ、鬼が犯してきた罪は重いということだろう。
「そうだね……A、君の意見が聞きたい」
『エッ』
「命あるもの全てに愛される、生の呼吸の使い手の君はどう思った?」
お互い複雑だなぁ、なんて呑気に考えていたから罰が当たったのだろうか。お館様がいきなり私を指名してきた。
全員の視線が私に集まるのがわかる。此処で、禰豆子ちゃんを庇えば少し先にいる不死川さんにきっと思いっきり睨まれるだろう。更に、伊黒さんに嫌味を言われるのは確実だ。
『私は……認めて欲しいです』
「A」
「どうしてかな?」
そう考えると、声が震える。何とか、賛成の意を示せば杏寿郎さんから咎めるように名前を呼ばれた。
お館様に何故、と聞かれた。私にとって、鬼は恐怖だ。会いたくないし、関わりたくもない。それに私は、禰豆子ちゃんと会って間もない。鬼を襲わない保証を出来るほど、彼女と過ごしていないのだ。でも、
『炭治郎は優しい人です。人を傷つけることをしない人です。そんな彼が、風柱である不死川さんを殴ってまで守りたいものなら……私は、』
彼に沢山助けてもらった。会ってすぐの私を逃がそうとしてくれた。ずるくて弱い私を、自分を犠牲にしてまで守ってくれた。
彼が、大丈夫だと笑ってくれたから私は下弦の鬼に立ち向かえたのだ。
『私は、信じて一緒に守りたい』
(……だから、せめて。彼の大事な物を守る手助けくらいしたい)
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美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです!! (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!お話面白かったです!更新しないのですか?続きが気になります! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ?更新しないのですか?とても面白かったので続きが読みたいです! (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです!ヽ(*´∀`)ノ続きが気になります!ゆっくりでいいので更新待ってます! (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年6月27日 23時