花弁がろくじゅういち ページ26
◇◆
禰豆子ちゃんが入った木箱を片手に、不死川さんが近づいてくる。その後ろで隠さんがオロオロしながら着いてくるのが見えた。
「不死川さん。勝手なことをしないでください」
隣でしのぶさんが怒っている。ちょっと遠くで、蜜璃ちゃんがキュンキュンしているのが横目に見えて少し和んだ。が、直ぐに不死川さんの声で緊張がはしる。
「鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ？そんなことはありえねぇんだよ馬鹿がァ」
その言葉と共に不死川さんが禰豆子ちゃんの入った木箱に思いっきり剣を突き刺した。木箱から赤い血がボタボタと流れ落ちる。
それを見た瞬間、熱い何かが腹の底に沸いて思わず体が動こうとした。けれど、
『……!!しのぶさん』
「不死川さんに殴られますよ、Aさん」
しのぶさんの細い指に肩を掴まれ、止められる。しのぶさんの言葉に頭が冷静になっていく私の横を、ビュンと風が吹いた。
気づけば、隣にいたはずの炭治郎が不死川さんの元へと向かっていた。頭に血が昇った炭治郎には、冨岡さんの静止の声も聞こえていない。
不死川さんが刀を抜いたことに怯むこともなく、炭治郎は盛大な頭突きをくらわす。
(すっごい音したけど大丈夫かな？……おもに、不死川さん)
炭治郎の頭は凄く硬い為、心配していると不死川さんは案の定鼻血を出してしまっている。
「善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないなら柱なんてやめてしまえ!!」
「てめェェ…ぶっ殺してやる!!」
炭治郎の言葉に不死川さんはキレたようで、額に青筋を浮かべている。ｰｰ私なら絶対泣く!!風柱こわっ!!
「お館様のお成りです」
殺伐とした空気を切り裂いたのは、鋭い女の子の言葉だった。その言葉と共に、襖が開く。
「よく来たね。私の可愛い剣士たち」
お館様だ。心地よいその声音は何度聴いても、心が落ち着く。2人の子供に連れられるようにして歩いてくるお館様に炭治郎は唖然としている。
「Aさん」
『あ、はい！』
炭治郎が不死川さんに殴られたのを見ていると、隣からしのぶさんに声をかけられた。慌てて、私も膝をつく。
不死川さんが挨拶をし、炭治郎と禰豆子ちゃんについてお館様に意見を求めた。炭治郎が意外だ、と言いたげに不死川さんを見ている。ｰｰまた、殴られるよ？
「炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そして皆にも認めてほしいと思っている」
お館様の落ち着いた声が、響いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2877人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「鬼滅の刃」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (
レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです！！ (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして！お話面白かったです！更新しないのですか？続きが気になります！ (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ？更新しないのですか？とても面白かったので続きが読みたいです！ (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです！ヽ(*´∀｀)ノ続きが気になります！ゆっくりでいいので更新待ってます！ (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちょこもち | 作成日時：2019年6月27日 23時
