花弁がごじゅうよん ページ19
◇◆
熱い空気に誘われるように目を開けば、炭治郎が”あの技”を使っていた。それでも、糸は炭治郎を囲むように無数に動く。
炭治郎は相打ち覚悟なのか、躊躇せずにそのまま刀を振るおうとした。その時、
__血気術・爆血!!
糸が燃えた。正確に言えば、禰豆子ちゃんが血気術を使い糸に火をつけたのだ。燃えた糸は、炭治郎を切り裂くことなく寸前で焼き切れる。
(凄いなぁ、禰豆子ちゃんは。ちゃんと、お兄ちゃんを守ってる)
ずるい自分を棚に上げ炭治郎にあたって、累くんの攻撃に為す術もなかった私とは違う。もやもやした感情が胸に広がった。
目の前の炭治郎の日輪刀は勢いを失うどころか、禰豆子ちゃんの血気術により更に勢いが加速する。
「俺と禰豆子とAの絆は誰にも引き裂けない!!」
(あぁ。どうして、君はそんなにも私の欲しい言葉をくれるの)
炭治郎の刀が振り切ったと同時に、累くんの首が宙を舞った。
「ハァハァ……A、」
『炭治郎……!!』
炎の勢いにより私を拘束していた糸は切れた。荒い呼吸を繰り返している炭治郎の元へと向かおうとした時、
「僕に勝ったと思ったの?」
ゆらりと、身体が立ち上がり空を舞った筈の累くんの首が喋った。死んでいなかったのだ。
炭治郎に首を斬られるギリギリで、累くんは自身の身体と首を切り離した。ゆっくりと、奥から累くんが炭治郎へと近づいていく。
「もういいお前も妹も殺してやる。こんなに腹が立ったのは久しぶりだよ」
怒っている、とてつもなく。累くんはゆっくりと、自分の首をくっつけると糸を引いた。
「何の未練もなくお前たちを刻めるよ」
糸が炭治郎に迫った。ーーどうする?参ノ型?間に合う?いや、炭治郎も禰豆子ちゃんも巻き込んじゃう!!
無意識に、息を深く吸っていた。身体が燃えるように熱くなるの感じながら、刀を鞘から抜く。
腕の痛みも、死ぬかもしれない恐怖も、その時は頭からすっかり消えていた。ただ、
__生の呼吸 伍ノ型 死色の薊!!
私を守ってくれた、心優しい彼と彼の妹を死なせることだけはしたくなかった。
炭治郎に迫っていた無数の糸が私の横で切れて落ちる。目の前には青筋を浮かべた、累くん。
「やっぱり、お前も殺しておくべきだったね……!!」
『そろそろ私も良いとこ、見せないとね!』
臆病で平凡な私の役割……それは、”あの人”が来るまで炭治郎と禰豆子ちゃんを守ることだろう。
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美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです!! (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!お話面白かったです!更新しないのですか?続きが気になります! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ?更新しないのですか?とても面白かったので続きが読みたいです! (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです!ヽ(*´∀`)ノ続きが気になります!ゆっくりでいいので更新待ってます! (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年6月27日 23時