花弁がごじゅうさん ページ18
◇◆
「……どういうつもりかな?これは」
累くんの瞳が不愉快だ、と言いたげに歪む。それもその筈だ。ついさっきまで、怯えまくっていた女が自分の腕を切りつけたのだから。
(力一杯振るっても、切り傷1つってチートかよ)
『生憎、私は死なない体なんてそんな大層なもの要らないんだよね』
「あれだけ、死にたくないと怯えまくってた女が面白いことを言うね」
(確かに、死にたくない。でも、それは永遠を生きたいからじゃなくて)
『限りある命を精一杯、大事にしながら生きたいから私は死にたくないって言うんだよ』
終わりの見えない命なんて、いらない。平凡女子高校生に、そんな物渡したところできっと無駄にする。
死は辛いことだと、別れは悲しいことだと、知っているから。それを蔑ろになんて、絶対にしたくない。
『今を精一杯生きてる人間のうちは、鬼にはならないかな!!』
「……綺麗事だ、そんなもの」
割と丁寧にお断りした筈なのに、累くんは青筋を立てて怒っている。
「そこの鬼も、お前も、きちんと教える必要があるみたいだね」
累くんの丸い瞳が、細められたと同時に視界の端に糸が煌めいた。瞬間、腕に糸が絡みついた。
『ぐぁっ!?』
「Aっ!!」
ギリギリと締め上げられ、痛みが頭を駆け巡る。腕を見てみれば、こんなにも自分の体内には血が流れてるのかと思う程出血していた。
「
(あぁ、そうか。彼が鬼になった理由は、)
そこで思い出した。私は知らないうちに、とんでもない地雷を踏み抜いていたことに。
「あれだけ威勢のいいことを言っておいて、もう終わりか?まぁ、その方が楽だから良いけど」
私と禰豆子ちゃんを交互に見つめて、薄く笑った累くんの元に影が近づく。
__全集中・水の呼吸 拾ノ型 生生流転
炭治郎の黒い刀が何度も、張り巡らされた累くんの糸を切りつける。一撃、二撃と重ねていくうちにそれはより強固なものとなるのだ。
やがて、黒い刃が糸を切り裂くのと同時に炭治郎が累くんと距離を詰める。
「ねぇ。糸の強度はこれが限界だと思ってるの?」
けれど、あっという間に累くんは先程よりも強い糸で炭治郎を襲う。
__血気術・刻糸牢
「もういいよ、お前は。さよなら」
『っ!!炭治郎!!』
炭治郎がこの後、ちゃんと糸をくぐり抜けられることは覚えていた。それでも、怖い。
__ヒノカミ神楽 円舞
目を閉じた私の頬を、熱い空気が撫でた。
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美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです!! (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!お話面白かったです!更新しないのですか?続きが気になります! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ?更新しないのですか?とても面白かったので続きが読みたいです! (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです!ヽ(*´∀`)ノ続きが気になります!ゆっくりでいいので更新待ってます! (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年6月27日 23時