花弁がごじゅうに ページ17
◇◆
「僕はね自分の役割を理解していない奴は生きてる必要がないと思っている。お前はどうだ？お前の役割は何だ？」
(炭治郎は主人公。禰豆子ちゃんは主人公の妹。累くんはその主人公に立ち向かう敵役。……じゃあ、私は？私の役割は、なに？)
自分が言われたわけじゃないのに、一瞬そんなことを考えしまって慌てて消し去った。ｰｰ私なんて、漫画のほんの一コマに登場するモブだ。
「お前は僕に妹と女を渡して消える役だ。それができないなら死ぬしかないよ。勝てないからね」
心配になって炭治郎の方を見てみれば、考えているようだ。累くんを見据えるその目の奥には燃え盛る炎が見えた気がした。
「……嫌な目つきだね、メラメラと。愚かだな、もしかしてｰｰ勝つつもりなのかな!!」
累くんが腕を引いたと同時に、ふわりと浮かんだ禰豆子ちゃんの体……と、何故か私の体。
『ぐあっ!?』
「禰豆子、A!!」
絡まった糸がさっき怪我をした腕を締め付け、激痛がはしった。横には、禰豆子ちゃんがいて後ろには累くんがいる。
「さぁもう奪ったよ。自分の役割を自覚した？」
つまりは、累くんに抱きしめられているわけで……頭の中で、私のメンタルの限界を知らせる音が鳴り響いた気がした。
『ひぃぃっ!?勘弁して!!私ただの一般人!!期待とかしないで!?絆とか感じないで!?そこら辺の石ころだと思ってぇ!!』
「……五月蝿いね、刻むよ？」
「放せ!!」
累くんに糸を見せられ秒で黙った私を責めないで。誰だって、死の危険が迫ったら何も言えないだろう。
炭治郎がこちらに走ってくるのを、累くんがいまいましそうに見る。
「どいつもこいつも……逆らわなければ命は助けてやるって言ってるのに」
糸を引こうとした瞬間、禰豆子ちゃんの爪が伸びて累くんの顔を切り裂いた。切り裂かれたにも関わらず累くんは炭治郎の攻撃を避けてしまう。
禰豆子ちゃんの気配が隣から消え、慌てて見上げてみれば真上で吊るされていた。
「ね、禰豆子!!」
禰豆子ちゃんの体から流れた血が地面を赤く染め、炭治郎の顔が真っ青になる。
「そこの女もこれ以上騒ぐなら吊るすよ？簡単な事だ。鬼になれば、傷つけはしない」
「Aは、鬼にならないと言っているだろう!!」
「どうして？鬼になれば、頸を斬られない限り死なないのに」
緩んだ累くんの手を抜け出して、深く息を吸い込む。
__生の呼吸 弐ノ型 月下獸
私の白い刀から血が滴り落ちた。
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美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (
レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです！！ (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして！お話面白かったです！更新しないのですか？続きが気になります！ (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ？更新しないのですか？とても面白かったので続きが読みたいです！ (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです！ヽ(*´∀｀)ノ続きが気になります！ゆっくりでいいので更新待ってます！ (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょこもち | 作成日時：2019年6月27日 23時
