クル先のマブは美術教諭【twst】 (ページ43)

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　キセキの原石ページ43

〈西校舎廊下〉

｢ちょっと来い。｣

｢エ、ナニ?お金なら無いけど…｣

｢違ぇよ、｣

クルーウェルがランドルフの腕を掴もうとしたとき、ランドルフはびくりと肩を震わせた。そんなに怖がることないだろ、とクルーウェルはもう一度ランドルフに手を伸ばした。

『ちょっと、デイヴィス?ランドルフに触ったら怒るわよ。』

｢……何、お前らガチでデキてんの?なぁ、ランドルフ?コイツはただの絵だぜ?｣

『デイヴィス!』

｢いいよ、ロザリア。デイヴィス君、着いていくから、ロザリアを悪く言わないで。｣

嗚呼、なんでこんなに上手くいかないんだ。まるで俺が悪者みたいじゃないか。

クルーウェルは内心で毒づき、歩き始める。後ろをランドルフが申し訳なさそうに着いてくるのにもまた、無性に腹が立った。

｢……ゴメンね、デイヴィス君。ちょっと色々トラウマがあってサ。デイヴィス君がそんなことするはずないとはわかってるんだケドね。｣

｢…………いや、俺が悪かった。｣

なんとなく察せてしまった。性犯罪かなにかだろう。クルーウェルにも襲われるなどの経験はあるが今までギリギリのところで防げてきていた。コイツはきっと違う。

｢あ、察した?デイヴィス君もトレイン先生に心配されてるってことはやっぱり似た境遇なのかな。デイヴィス君顔いいから。｣

｢……俺も、無理やりヤられそうになったことはある。でもギリギリのところでトレインが助けてくれたんだ。｣

｢……フフ、やっぱトレイン先生ってかっこいいよネ。｣

｢……別に、あんな堅物。｣

｢ヒドイなぁ。あとちゃんと先生つけた方がいいヨ。あの絵、ロザリア。本当にオレが描いたんだ。退職した美術教諭、居たろ?アイツにさ……｣

ランドルフは過去をつらつらと語った。

｢ゴメン、まだ会って一週間くらいしか経ってないのにこんな話して。気持ち悪いだろ。汚れてるんだ、オレ。色々鬱憤が溜まってたみたい。忘れて。｣

そうやって悲しく笑ったランドルフを、クルーウェルは酷く心配になった。コイツは守らなきゃ、壊れる。なんて、そんなことを思った。まだ会って一週間くらいしか経ってないのに。

｢……気持ち悪い?汚い?馬鹿を言うな。俺はお前を綺麗だと思ったから、隠していたら勿体ないって言いに来たんだよ!｣

｢……エェ?そんなこと言いにきてたの?｣

｢あぁ。覚悟しろよ。原石のお前を、この俺が世界一美しく磨いてやるよ。｣