【おそ松さん】声が出ない君に恋をした【おそ松】

私 ページ5

貴女side

今日も…声、出なかったな。

私には毎日決まってやる事がある。

声を出そうとする事。

私は、声が出せない、出ない。

それは…







二年前。

私は、この時死ぬはずだった。

誘拐されて、縄で両足、両手首を拘束されて。

口にはガムテープが貼られて。

私は必死に抗おうと藻がいた。

でも…相手は男。力で敵う事などなく…

銃が頭に突きつけられた。

差し金が引かれるその直前。

私の前に一つの黒い影が目の前に来て、一瞬にして紅く染まった。

その姿は紛れもない、警察庁長官の父だった。

そしてまた。

男「今度こそは…打ってやる。」

差し金を引く。

今度こそ…本当に死ぬんだ。

待っててね。すぐに逝くから。

バン！

銃声が聞こえて数秒経っても…痛みがない。

もう死んだのか…？

目を開ける。

そこには、同じ部屋で死んでいる父さんが居てもう一つ。見慣れた女性の姿が目に映る。

母さん、だった。

私だけがその場に、この世界に生きたまま置いて行かれて、泣き叫んだ。

それが…自分で聞いた最後の声だった。







それ以来、声は出ていない。

私にはペンと紙が絶対に必要となり、毎日苦しい思いをしている。

でも…今日からは違う。何故かそんな気がした。





屋上は青い空が広がっていて、誰もいないし、開放感がある。

そしてピアノがある。

そこで毎日弾く曲。『ハナミズキ』。

母が大好きだった歌。

それをこの近くで一番高いところで弾いて、母さんに聞かせる。

本当は歌いながら弾きたいけどなぁ…

母さんと父さん…向こうの世界で元気にしてるかな…

逢いたいな…

気づけばもう夕方。

早く帰らないと看護師さんに怒られる。

あともう一曲だけ。

それを聴いている君の存在に気付かなかった。

弾き終わってやっと気づく。

私よりも身長が高くて、整った顔立ちをしていた君の存在に…









私は一目惚れをした。

.

おそ松君→←隣の子

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