【おそ松さん】声が出ない君に恋をした【おそ松】

残り四十八時間 ページ11

おそ松side

最近、Aは心臓の痛みを訴えるようになった。

俺には、苦笑しながら【大丈夫】と言っている。

その無理矢理作る笑顔を見るのが、一番、俺にとって辛いんだ。

苦しむ姿も見たくない。

だから、早くドナーを見つけて手術してほしい。

そうじゃなきゃ…

俺は、Aに思いを告げる事ができない。

あと三週間。

まだ、三週間ある。

…

そうだよな…？

三週間だよな。









明日で退院。

皆に会えるのは嬉しいけど…Aと離れたくない。

子供のわがままだけど…できれば退院したくない。

Aと一緒にいたいから。

そんなことは出来ないけど…

とにかくAに伝えなきゃだな。

「A〜…！」

まただ。

Aが心臓辺りをぐっと掴んでいる。

そしてまた…

作り笑いを見せる。

本当に…

辛そうだ。

少し近くに行って退院することを話した。

Aは一瞬だけ、泣きそうな顔になった。でも、笑顔を見せてくれた。

そして…

その笑顔を最後に。

Aは倒れてしまった。

俺は頭が真っ白になった。

例えるなら、銀世界。

思考も全て停止した。

Aが倒れた？

「…ふざけんなよ…っ」

溢れそうになる涙を堪えて、ナースコールで医者を呼ぶ。







医者「！やっぱり、か。」

看護師「はい…どうされますか？」

医者「すぐに、意識と身体の状態を確認してくれ。」

看護師「わかりました。」









医者「松野…さん？でしたっけ。」

「そうですが…」

医者「Aさんの担当医の内田と言います。」

「内田さん。」

貰った名刺を見ながら呟いた。

医者「いつも、楽しそうにあなたの事話してましたよ。」

「そうですか…」

そう思われてるんならいいな。嬉しい。

「Aは…助かるんですか？」

医者「率直に申します。あと…二日。四十八時間の間にドナーを見つけなければなりません。」

「え？」

四十…八時間？その間に…？

医者「確率的に言えば…ほぼ0%です。」

「っ…そんな…」

そんなの無謀すぎる。

俺は目から出る雫を止める事なんて出来なかった。

神様…

酷いじゃないですか。

どうして…

Aなんですか。

神様は【幸福】が好きじゃないんですか？

教えてくれよ。

.

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