ねぇ、こっち向いてよ (ページ30)

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２７. ページ30

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「長谷川さん！」

朝、事務所のエントランスで僕の名前を呼ぶ声が聞こえたかと思って振り返ると

「Aさん…？」

少し息を切らしたAさんが居た

渡された紙袋の中にはコーヒーとマカロンが入っていて

「これ僕に？」

『あの、昨日のお礼です！』

抜けてるのに、こういうのは欠かさない

皆から好かれるのはこういう所だと、ふと思った

「そんなの良かったのに」

『恩人なので…』

「あ、また笑」

『助けていただいてばかりですね……しっかりしないと』

しっかりしなくていい

頼って貰えるなら、それでいい

なんてね。

『これ、お仕事の合間にでも…！』

「ありがとうございます」

『こちらこそです』

「Aさん、今日何時までですか？」

『えっと、今日は……20時です』

よし、ビンゴ

「了解です」

『あの、待ってもらわなくて大丈夫ですよ？』

「ふっ、バレました？笑」

『バレバレです』

一緒帰るために待ってるのにって思うけど、これも僕の立場を思ってのことだと思うと頬が緩む

でも、Aさんが折れないならこっちも同じ

「待ってますね」

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