居酒屋で会った婚約者【五条悟】

カマキリ型の呪霊なんぞ初めて見たわ ページ35

｢ちょっと2人とも!!早く早く!!｣

先々行く彼は疲れなど一切見せないと言った感じに進んでいく。

既に公道からは外れたから山道を登っている筈なのに何で彼はあんなに足取りが軽いんだよ!?

クソー、私の味方は君だけだよ。と思いながら七海君を見遣ると、彼は汗一つ掻かず私のペースに合わせているとでも言うように歩いているのだ。

何でだよ!!君2年前まで私と一緒にリーマンやってたのに!!

｢2年も経てば、この業界じゃ自然と体力は付きます｣

｢何でわかっ…｣

｢顔に書いてありますよ｣

ｿｳﾃﾞｯｶ(悟)となりながら、彼等と共に歩みを進める。


｢……2人ともちょっとストップ｣

五条君に言われ止まると、疲労で息の上がった私でも分かるような微かな呪力に囲まれている感覚。

｢えっと….え？｣

｢コレでも向こうは隠れてるつもりみたいだね｣

七海君は無言で背負っていた鉈を取り出し戦闘態勢。
五条君も先程とは打って代わり、微かな殺気を出している。
私も一応怖かった為、適当に半身を引いた姿勢を取る。

｢…来るよ｣

その瞬間五条君に抱き抱えられ後ろに強制的に下げられる。
途端に不気味な鳴き声と共に、人外が20数体落ちてきた。

｢へ？は？｣

｢あっぶなぁ。やっぱり椿さんは避けきれなかったね｣

ヒｨｨｨｨｨ!?何アレ。何なんすか!?ｷｼｬｰ!!つってるよ?!何!?カマキリの類いですかこんちくしょう!!

｢ちょっ、Aさんよく見てよ。見慣れてるでしょ？｣

私の百面相を覗き込んだ彼は呆れた様にそう言う。

｢なーにが見慣れてるよ!?私が何で…｣

そう思いながらよく見ると微かに呪力を感じ取る。間違いなく呪霊の類い。

……やべ、ビビりすぎてちゃんと見てなかった。

｢…呪霊でした。叫んですみませんでした｣

｢ん、それなら良し｣

そう言いながら、彼は呪霊に足を向ける。既に七海君は何体か祓っている。

｢あの、下ろしてもらって大丈夫ﾃﾞｽﾖ｣

｢何言ってんの？今下ろしたら確実にAさん呪霊の餌食になるじゃん｣

｢じゃあ何で餌食の私抱えたまんま呪霊に戦闘態勢取ってんの？｣

｢え？Aさん抱えたまんま祓うからだよ？｣

確り掴まっといてねー、と棒読み気味に言いながら彼は私を抱えながら準備体操をする。

は、ちょっと待てや。私を抱えたまま戦うって言いよったか？此奴。

｢いやいやいやいや、お止めなさいよ。危ないから、ね？｣

｢早く口閉じとかないと舌噛むよ｣

その言葉を最後に私の絶叫が山中に木霊した。

某銀○のパン○○ニウムの顔面は無理→←何気ない目が私を傷付けた(迫真)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す