【オリジナル】それは、ささやかなる願い。【BL】 (ページ9)

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六頁～番-ﾂｶﾞｲ-１～ページ9

【番(つがい)】とは、αとΩの間のみで発生する特別な関係である。

一般的に番(つがい)は、恋人関係や婚姻(こんいん)関係よりも強いものとされており、一度番(つがい)になれば基本的にどちらかが死ぬまで解消することはできない。

……そう、基本的には。

実際は、α側からのみ番(つがい)を解消することが可能であった。

ただしこれにはいい話など聞かない。
番(つがい)の解消は少なからずΩ側にストレスがかかるからだ。

もちろん個人差はあるが、多くのΩは鬱(うつ)状態になり暫(しばら)くの間、今まで通りの生活を送ることが難しくなる。
ましてや一方的に引き剥(は)がされるなどあればなおのこと。
そういったΩは非常に強い精神的ストレスを負い、以後は番(つがい)を作れなくなってしまう。

結局、番(つがい)はΩばかりリスクを負う行為なのだ。

こんなリスクがあるにも関わらず、番(つがい)になるのは難しい方法ではない。

Ωがヒートを起こした際、αがフェロモン分泌腺(ぶんぴつせん)であるうなじを噛(か)む。これだけでいいのだ。

ちなみに、この時フェロモンの性質が変わり、以降番(つがい)であるα以外にフェロモンが感知できなくなる。

番(つがい)を作ってもヒートは無くならないので、メリットと言えば無差別にαを欲情させてしまうことが無くなることくらいだろう。

それでもΩの多くは、番(つがい)をつくることを望んでいる。
社会的に立場の弱いΩはどうしても一人では生きにくいのだ。

だからこそαの恩恵(おんけい)が必要。
Ωはパートナーに支えてもらう他ないのである。

これが、Ωの背負う運命。