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五頁〜運命の確定5〜 ページ8

「あのさ」

「んー?」



間延びした声がやけに心地いい。
たったこれだけの事でモヤモヤとした気持ちは一変、胸はふわりと温かくなる。

不思議だ。



「お前、今日俺に言っただろ。平助がβってことに対して『やっぱりって思っただろ』って」

「え? あー。そういえば言ったな……」



「俺、平助はαだと思ってた」

「お、俺が!? 俺のどこを見てαって思ったんだよ。
さてはAくん、人を見る目がないな?」



「あははっ! そうかも」





勉強もスポーツもちょうど真ん中。
突出(とっしゅつ)した能力も、これといった特技もない。

誰かが言っていたように『ザ・凡人』の男。絵にかいたようなβだとさえ思える。


だからこそ、自分でもなぜ彼が『αかも』なんて思ったのか分からない。
ただなんとなく、そう思っただけ。




「まあ、他人からの印象も評価も当てにならないって事だろうね」



きっと、こうであってほしいという理想。決め付け。
物事の判断にはそういった個人の感情が含まれる。




「明日には少し落ち着くかな?」

「俺はともかく、Aの噂(うわさ)は広まるだろうし、明日もいろんな奴に捕(つか)まるんじゃね?」


「うわっ、憂鬱(ゆううつ)」

「あははっ。まあ、頑張れよ」

「頑張りたくないけど、頑張るよ。……じゃあまた明日」

「おう、またな!」





だからこそ、それも俺の願望。
“平助がαだったらいいのに”と、どこかで願っていたのだと思う。


彼がαなら【番(つがい)】に……なんて夢を見て。






俺の第二の性別はβじゃない。ましてや、αなどでもない。


……そう、俺の本当の性別は【Ω】だ。

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設定タグ:オリジナル , BL , オメガバース   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:フロース | 作成日時:2019年3月4日 19時

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