二頁〜運命の確定2〜 ページ5
この国では中学在学中までに性別検査を受けることが義務(ぎむ)付けられていた。
そして、この地区の中学では毎年、健康診断と共に性別検査が学校で行われている。
以前、この検査は一度しか行われていなかったそうだ。
というのも、成長期前の検査では正しい性別が判断できないこともあるらしい。
当然、『ほとんどの生徒が成長期を終えた、中学三年の年に検査行えばいいだろう』という声もあった。
しかし本来は十代後半で訪れる発 情期だが、早い者では13、4歳でむかえるΩもいる。
それも考慮(こうりょ)した上で、なおかつ誤りがないよう合計三回の検査が数年前より行われるようになった。
ちなみに、検査の誤りというのは主に“Ω性”に起こる。
βとΩの見分けは難しいらしく、Ωだというのにも関わらずβと判断されることが稀(まれ)にあるのだという。
だから、一年のときβという結果を受けても二年、三年でΩと分かる、なんてこともあり得るのだ。
ただし、検査結果に誤りがあるとすれば『Ωがβと判断される』。これのみ。
だから検査結果の誤りに関して、“俺には全く関係のない話であった”。
「えっ、雪城(ゆきしろ)くん。本当にαじゃないの?」
先ほどの雪城の発言にクラスはザワついていた。
ああ、なるほど。
今日はやけに俺に対するソワソワした反応と視線が多いと思ったら、そういうことだったのか。
平助が口にしていた『みんな言ってる』は、あながち間違いではないらしい。
「まあね」
何てことないように笑って見せれば、先程よりもワッと反応が大きくなる。
「うそだろ!? 勉強ができて運動神経抜群。金持ちだし、それに何てったって顔がイイ!」
「じゃあ、雪城のまとってる芸能人顔負けのオーラと華(はな)は何なんだよ!」
「雪城がαじゃやけりゃ、一体誰がαだってんだ!」
「なあ、嘘だろ。Ω避(ざ)けのための嘘だといってくれ」
「じゃないと、αのこいつがかわいそうだ!」
「今、それを言うなよ! バァカ!!!!」
思いの他、俺は周囲に期待されていたらしい。
あちこちから飛び出す言葉に、もはや一人一人に対応するなど不可能だ。
すでに誰がなんと言ったのか覚えてやしない。
俺は聖徳太子じゃないんだぞ。
「俺は“嘘は”つかない、かな?」
「「あ゛ああぁぁあー!!!!」」
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作者名:フロース | 作成日時:2019年3月4日 19時