十一頁〜これは果たして恋なのか4〜 ページ16
「うわぁ! ビックリしたあ。どっから生えてきたんだよ、お前」
俺の背後から、ニョキリという効果音が付きそうな登場をしてきたは平助だった。
何度も言うがここは平助のクラスではない。
何故(なぜ)お前はこうも馴染む。
「あっははっ、ごめんごめん。驚(おどろ)かせた?
邪魔(じゃま)しちゃ悪いと思って、タイミング見計らってただけなんだけど」
いや、確信犯だろ。
絶対分かっててやっただろ。
「はあー。ニヤニヤしながら言ったって、説得力ないだろ」
「まあ、まあ。細かいことは気にするなって!」
ほらな。
タイミングを見計らったのは本当だろうが、それは気を使ったのではなく、俺を驚(おどろ)かす為(ため)というのが大きいだろう。
「いやー。それにしても、相変わらず南条は台風みたいなやつだよなぁ」
平助は思い出したように、何気無く言った。
しかし俺としては、何やら聞き捨てならないもの含(ふく)まれている。
「はあ!? 待って、お前一体いつからソコにいたわけ?」
「んー。いつからだろうねぇ〜」
なにも気づかなかった俺も俺だがこいつ、そうとう前から潜(ひそ)んでやがる。
「ああ、そうそう。西川……だよな? さっき何をコソコソと話してたんだ?」
「ん? ああ。なんか、憧(あこが)れてたんだってさ」
「Aに?」
「うん」
「西川が?」
「いや、南条が」
「へ? 南条が」
「意外だろ?」
「意外って言うより、むしろ……」
途中、口を濁(にご)したかと思えばいつになく真剣な表情を見せる。
普段はヘラヘラと掴(つか)み所のない笑みばかりを浮かべているものだから、不気味でしょうがない。
「なあ、本当に『憧(あこが)れてた』って言ってたのか?」
「え? うん、まあ……?
んーと。確か、俺に憧(あこが)れてたから俺がβなのが悔(くや)しい……だったっけ。何かそんな感じの事言ってた、けど」
「……悔(くや)しい?」
ますます顔を固くする。一体何だって言うんだ。
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作者名:フロース | 作成日時:2019年3月4日 19時