八頁〜これは果たして恋なのか1〜 ページ13
翌日も案の定。俺、雪城Aはいろんな奴(やつ)に絡(から)まれまくっていた。
それは授業と授業の間にある短い休み時間でも変わらない。
特に約一名。
朝から昼休みとなる今まで、授業が終わるたびに必ず俺の席へ来る奴(やつ)がいた。
ちなみにソイツは今、俺の目の前に鎮座(ちんざ)している。
「なあ、雪城〜。お前本当にαじゃねえの?」
「南条(なんじょう)もしつこいなあ。何回も言ってるだろ、違うって」
「う゛ー、でもさぁ……」
「はいはい。その辺にしておけよ南条。雪城を困らせるな」
俺の机にへばりつく南条をひっぺがしたのは、まるで南条とは正反対のタイプの男。
南条は明るい金色の髪に、ガタイの良いからだつき。
まるで不良のようなナリをしている。
それに対し今来た彼、西川(にしかわ)は黒髪に清潔な身なりを整え、物腰(ものごし)も柔(やわら)らかい。
今は外しているようだが、授業中はメガネもかけている。
典型的な優等生タイプの男だ。
「悪いな、雪城。こいつ昨日からずっと『俺がαで雪城がβなわけない』ってそればっかりでさ。『俺のαが霞(かす)む!』って」
「あはは……」
どうして西川が謝(あやま)るんだろう……。
何だか今、西川の苦労が垣間見(かいまみ)えたような気がした。
「いや、だってさぁ――」
「それより次の授業、化学室。俺らは今日、実験準備の手伝い。だろ?」
何か言い足りなさそうにしている南条だったが、西川の一言に途端(とたん)、慌(あわ)て出す。
「ゲッ、やべ! 安藤(あんどう)センセーの説教なげぇし、チョーこぇーんだよ。じゃーな、雪城!」
南条は、ガタガタッと机や椅子(いす)につまずきながら、その場をあとにした。
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作者名:フロース | 作成日時:2019年3月4日 19時