【オリジナル】それは、ささやかなる願い。【BL】 (ページ12)

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××頁～ウンメイノカクテイ２～ページ12

しかしAは放課後――今になってそれを否定した。

「俺、平助はαだと思ってた」

「お、俺が!? 俺のどこを見てαって思ったんだよ。
さてはAくん、人を見る目がないな？」

意味がわからなかった。

平凡(へいぼん)な俺の一体何処(どこ)にαである要素など存在するのか、本気で分からなかった。理解できなかった。

小学校入学前からの付き合いで、何でも話せる仲。
理解し合える相手だって思ってた。

なのに、今。俺はAが全く分からなかった。
異質な存在とさえ思えた。

「あははっ！そうかも」

途端(とたん)に彼が怖くなった。
いつもと変わらず笑う彼が恐ろしかった。でも。

「まあ、他人からの印象も評価も当てに
ならないって事だろうね」

ハッとする。

学校の連中は俺をβと決め付けた。
俺の嘘(うそ)に疑いすら持たなかった。

彼の言うとおりなのだろうか……。
他人の評価なんて当てにはならない。

Aの言葉に少し、αである自分が許されたような気がした。

まあ、俺の場合他人どころか、自分の印象も評価も当てにはならなかったけど。

ああ、でも。お前だけは違ったんだよな。

ははっ。ほんと、Aはスゲェよ。
お前だけは言い当てちまうんだもん。俺の、本当の性別を。

Aを恐ろしいと思った。
でも実は、ほんのちょっと嬉(うれ)しくもあった。

なあ、A。
本当に人を見る目がないのは俺だ。俺なんだよ。お前の方が正しいんだ。

心の中では何度も言うことができた。
でも、最後まで真実は口にすることはできないまま。

臆病(おくびょう)者め。

だけどいつか、言いたいな。

自信をもって、胸を張って、『俺はαなんだ！』って。