拾捌話 ページ20
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「さて、部屋作ろうか」
「おにーさんと同じ部屋がいー」
「…はぁ」
やったー。
なんだかんだ甘いからねお兄さん。喜んでいるとちょうどつけたテレビに太宰さんが映っていた。
…イケメンか。
「どうした?」
「おにーさん抱っこー」
「お前ねぇ」
怖くなって抱っこを所望するとはぁ、とため息を吐きながらしてくれた。
どこか安心するんだよねぇお兄さん。
「お前の親はどこにいるんだろうね」
「うーん。ママはきっと川にいる」
「川?なんで?」
「洗濯してるー。パパは山にいるー」
「ぶっ、ふっ、なんで…?」
「芝刈りー」
「あっははは!!」
止めを指すとまた笑いだした。
「にーには鬼退治ー」
「おにたいっ、ふっ、それはすごい」
めっちゃ草生やしてるけどちゃんと抜けるかな?お片付け出来るかな??
まぁ、多分そんなことないと思うけど。
私が思うに親はもう死んでいる。何となく思い出すのはあの覚醒した日。
私が意識をなくす間際に中也が言った言葉。
『ーーーーーー恐らく被験者でしょう』
ああ、何をしたら親に恵まれるんだろう。そう思った日だった。
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作者名:拳銃 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月12日 23時