実況45 ページ45
Side.貴方
カチカチと、時計の秒針だけが動く音で目が覚める。
肌寒い感覚と、体の一部分だけが温かい。
右手はキヨの左手と絡まれているからだ。
自分の姿を見て気づく。
事後だということに、頭を抱える。
正直昨晩のことは覚えていない。
愛の語り合いという名の、告白をしてから泣き疲れた私は確かお風呂に入れさせてもらって。
ご飯は食べていないはず。
布団は薄手のタオルケットだけでマットレスは特有のしわを残しているだけで昨日の私達の存在は証明させれていない。
ほんとに、したんだっけ?
思考回路が回らない頭にカチンとくるも、今はこの温もりから出たくないためか考えることをやめた。
ギュッと右手をもう一度握り直し再度、眠りにつく。
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目が覚めると、俺は一回り以上小さな体を抱きしめていたことを思い出す。
ただの抱きまくらと、化していたAをもう一度抱き直し寝ようとするも阻止された。
「…おはよ、キヨ。」
見事に泣いた後だからか一重まぶたのAは柔らかく笑って俺の胸へと顔を当てる。
「…おはよ、昨日は可愛かったよ?」
「バカ清川、もっかい寝ていいよ。」
誘い文句のように小さな声で言ったその言葉に気が参ってしまいそうだった。
一緒にいられるのもあと少しだとおもいだしてしまったからだ。
「…いや、おきる。お前とちょっとでも長くいたいしな。」
Aを抱き寄せ、話す。
今の俺は赤子をあやすような声で喋ってんだろうな。
「…ふふ、なんかキヨらしくない。ま、おきよ!お腹すいたし。」
俺の腕を退けて、上半身を起こした彼女は昨日は見えなかったがほっそりとしていて。
それでいて女性らしいふくよかさを兼ね備えていて思わず見入ってしまう。
「…ばーか。見過ぎ。」
「悪かったって。」
これからも、一緒にいたいなんて言ってはいけないか。
起きてからそんなことばかり頭に浮かんで、帰り際か出かけるときにでも聞こうか。
心の中で決心し、俺もベッドから体を起こした。
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霜田 - 誰も言ってないようだから言いますけど名前表記おかしいです。1度確認してから投稿とかできればそうして頂けると嬉しいです。 (2017年8月14日 17時) (レス) id: 34b277b443 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆずぽんぬ | 作成日時:2017年4月2日 23時