実況43 ページ43
Side.貴方
薄暗くなった一通りの多い道。ビルや小店、信号機や車の様々な光が私達を照らす。
正直、こんなに光り輝いてる外を見るのは久々かもしれない。
小さい頃に親とイルミネーションを見に行って以来ということ。
「…何かキヨって都会人って感じするよね。」
そう言うと笑われる。
逆にお前は田舎っぽいなって返されて。暗い夜道だとなんか気が不安になる。
隣にいるけど、脚の長いキヨは少し歩くのが早い。
その関係で斜め前を歩くキヨはどこかへ行ってしまいそうで。
恋仲でもないのに、何言ってんだろ。
歩道のアスファルトを見ながら歩くが、少し目頭が熱いな。
「なーに、黄昏れてんだよ!
って、おい、どうした?」
「…へ、?え、あ、何もないよ!」
声がしたので見上げてみるといつの間にかキヨは止まって驚いた顔をしていた。
丁度自販機のすぐ隣で、涙が見えてしまったのだろう。
必死に笑って誤魔化してもきっと止まってくれない。
「…なにも、ねぇわけねぇだろ。なんかあったべ?」
ゆっくり近づいて背中を擦る彼の手は大きくて心地よかった。
背中を上から下へ撫でるタイミングと同時に目から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
「…こんなとこじゃ、言えないから、家帰ってからはなす。」
撫でてくれる手からするりと抜け歩き出す。
少し足を進めてキヨの方へ振り向く。
笑った顔で、でも涙は溢れたままで。
「…まだ、はやい、かな。」
*
Side.キヨ
スタスタと歩いていってしまった柳を小走りで追いかける。
大粒の涙が留めなく溢れ、彼女のフェイスラインを伝って落ちていっていた。
その姿を見て綺麗と思ってしまった。
もう歩いてしまっているが、その表情や仕草が忘れられなくて心の中では立ち止まったままでいる。
「…おい、待てよ。」
声をかけて細い腕を握る。
泣く顔も笑う顔もすべて見ていたい。
こんな時に、失礼…かな?
俺は、柳の手首を握ったままスーパーへ足を運んだ。
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霜田 - 誰も言ってないようだから言いますけど名前表記おかしいです。1度確認してから投稿とかできればそうして頂けると嬉しいです。 (2017年8月14日 17時) (レス) id: 34b277b443 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆずぽんぬ | 作成日時:2017年4月2日 23時