実況33 ページ33
生放送が始まる。
舞台、というか小さなステージには既に司会の方と私以外の4人が楽しそうに話していた。
盛り上がっている中、もう少しで司会の方が私を呼ぶ。
リハーサル通りだと、ゲストどうぞ。的なことを言えば出ていいはずだ。
「…〜で、ですね。はい。それでは…。」
マイク越しにエコーで聞こえる声に深呼吸をして足を踏み出す。
少し強めの証明に、照らされ目だけをキョロキョロとさせると笑顔の四人にお客さん。
大きめのスクリーンには自分たちとコメントが映し出されていた。
女性の少し甲高い声やざわざわとした会場に何とも言えない緊張を覚える。
マスクで口は隠れているものの、口内は乾き声が出ない。
手足は血が通っていないかのように痺れ、目は泳いだまま。背中には嫌な汗が伝う。
「では、自己紹介をおねがいしまーす。」
「あ、はい。こんにちは。はじめましての方ははじめまして。柳です。
よろしくお願いします!」
いつもの実況よりも少し気持ちを入れて声を出す。装着タイプのマイクから出た声は会場内にいい具合に響いていた。
「うぉ、コメントやっべぇ。」(笑)
牛沢が声を出すと同時に後ろを振り返りモニターを見る。
すると、白色のコメントで画面があまり見えなかった。
「、あ、ありがとうございます?」(笑)
「なんで疑問系なんだよ。」(笑)
終始普通の会話の様に生放送が着々と進んだ。
「…〜対戦の勝者は、柳っ!」
「いぇーい。」
今回の企画である、通信ゲームの対戦で勝った私は見事に罰ゲームを受けなくて済んだ。
運の良さもあったかもしれないが、ここに来てくださっているお客さんと画面越しのリスナーさんのおかげかもしれない。
「では、本日の生放送はここまで!以上キヨレト牛沢p-pとゲストの柳でお送りしました!」
締めを終えると、またもや湧く。
その上に立っている優越感と今までの努力への褒美のようで視界が少し霞む。
でも、それがなんだか分かっているから笑ってごまかす。
「ありがとうございました!」
そう言って、カメラに手を振った。
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霜田 - 誰も言ってないようだから言いますけど名前表記おかしいです。1度確認してから投稿とかできればそうして頂けると嬉しいです。 (2017年8月14日 17時) (レス) id: 34b277b443 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆずぽんぬ | 作成日時:2017年4月2日 23時