第8話:思考の違い ページ10
ぐらぐらと肩が揺らされる感覚で、深く沈み込んでいた意識が水面近くまで浮上する。誰かの自分を呼ぶ声で、意識がはっきりとした。
「オリヴィアっ、オリヴィアってば!大丈夫!?」
「オリヴィアちゃん、さっきから反応しないけど体調でも悪いの?」
私の肩を掴んでいたのはアイリスだった。どんなに辛いことがあっても、悲しくても決して笑顔を絶やさない彼女が不安げに眉を下げてこちらを覗き込む姿に、彼女にどれだけ心配をかけたかを知った。
アイリスと一緒に私に呼びかけていたのは先生で、彼女も私のことを心配そうに見ていた。
「あ……えと、大丈夫。ね、ねぇ、ルーファスは?ルーファスと話したいの!」
心配させたことに罪悪感を感じたが、今は
何故なら彼の両親もまた、私の両親と同じように、彼が
今の私が彼になんて声をかけるべきかわからない。魔法使いになった私が何を言っても彼の心には届かないかもしれない。
それでも。
ルーファスのご近所さんとして、幼馴染みとして、親友として、彼に言葉をかけてあげなければいけない気がした。
「魔法使いのオリヴィアちゃんがあんな小魔力者と関わる必要ないわよ。」
居ても立っても居られなくなって立ち上がり教室を飛び出そうとすると、それを先生に阻止される。私の左手首を逃げられないようにがっしり掴む、その手はいつも優しく頭を撫でてくれる、あったかい手ではなかった。
「……えっ、先生?先生、何言ってるの? どんな階級であれルーファスはルーファスだよ?」
「そんなことより一番好成績だったキミから、一言もらいたいの。」
「そんなこと?そんなことって何!先生おかしいよ!」
先生の瞳には魔法使いである私の姿しか映っていない。きっと彼女は、いや、この世の中の
「っ……私とあと数人の魔法使いは別の学校に行くけど、みんなも頑張って。」
先生に促されるまま前に出て心にも無い言葉を紡ぐ。そして先生から解放された後、幼稚園中を駆け回ってルーファスを探す。
いくら探しても目的の姿を見つけることはできなかった。
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えるふぃ(プロフ) - ゆいな♪さん» ゆいな♪さん、ストーリーをお褒め頂きありがとうございます(*´ω`*) 描写頑張った甲斐があります!これからもっともっと引き込んで行けるように頑張りますね!応援ありがとうございます! (2019年8月24日 23時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - あわわ、す、すごいです!ストーリも分かりやすいので、凄い引き込まれます!更新頑張ってください! (2019年8月16日 13時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ぽむぽむぽあろさん» ぽむぽむぽあろさん、ありがとうございます!そんな風に褒めてくださって嬉しいです!読み手に情景が伝わるように書くのが目標だったので(*´ω`*) 夏休みに入ったら更新速度上げられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年7月30日 22時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむぽあろ(プロフ) - 設定がしっかりしてるので、お話の内容がアニメーションになって頭の中に浮かびます。とても面白くて好きです。もっと伸びてておかしくないと思うので更新頑張ってください! (2019年7月30日 12時) (レス) id: b97deb3170 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ちょこころねさん» ちょこころねさん、はじめまして!世界観とキャラの設定は一番力を入れたところなので、そこを褒められるとめっちゃ嬉しいです!文章長いのに一気読み、おつかれさまです!ちょこちょこ更新するのでよろしくお願いします! (2019年1月18日 10時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えるふぃ | 作成日時:2018年9月23日 21時