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第17話:自分と似た人 ページ19

魔法学校のあまりの大きさに驚きが隠せないまま教室に入り自分の席に着いた時、声をかけて来たアイリス。

私や他の生徒が黒を基調とした所々に白が使われ、繊細な装飾が施されたローブのような制服なのに対し、彼女は茶色で、地味目な装飾しかされていないローブを着ていた。私たちには帽子として黒のとんがり帽があるのに、彼女には何もなかった。


「アイリス、そのかっこ……。」

「あー、まぁ私は呪術師(アンシャンテ)だし!」


早速目に見える差別を受けているアイリスが心配で私は眉を潜める。対して彼女はずっとにこやかに笑っているだけだった。こんな時まで笑顔でいられる彼女の心の強さを尊敬する。

まだ人数も少なかったのでアイリスの席の近くで彼女と話していると、一人の少年が私らの方に近づいてくる。


「あーあ、同じ部屋に呪術師がいるとか信じられねーわ。」


男にしては長めの金色の髪に、蒼玉を思わせるような透き通った青い目をしたその少年は、アイリスを見やった途端にそう吐き捨てた。

それを聞いた彼女は一瞬だけ目の色を曇らせたが、すぐにまたいつもの笑顔を作る。

私と同じ髪色、目の色をして、どことなく私に似た彼からアイリスを貶す言葉が出るのが許せなかった。


「……わざわざその呪術師に話しかけに来るなんて、不快な思いをしたいバカなの?」

「っ、バカとはなんだ!お前、なめてんのか!?」


アイリスと金髪の少年の間に入って、彼の蔑むような視線を遮る。そのまま相手を小馬鹿にしたように鼻で笑った。

すると少年はみるみるうちに顔を怒りに染めていき、我慢ならないといった風に私の胸ぐらを掴み上げた。

同い年の子供よりも一回り身長が小さい私の身体は、背伸びをすることでやっと地面についていられた。


「すぐ暴力に頼るあたり知的さのかけらもないね。キミの頭の中には綿でも詰まってるの?」

「っ、この野郎!」


ここで引くわけにもいかず、なんでもないように余裕の笑みを浮かべてからさらに少年を挑発した。

少年が怒りに身を任せ、拳を振り上げる。私は次に来る衝撃を覚悟して固く目をつぶったが、いくら待っても痛みはやってこず、恐る恐る目を開けた。


「もうあなたたち!なにやってるの!喧嘩はやめなさい!」


すると少年は拳を構えた状態で動けなくなっていて、そこへ慌てた様子の女性が杖を持ったままかけてきた。

どうやら少年は彼女の魔法で動けなくなっているようだった。

第18話:入学式→←第16話:魔法学校



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えるふぃ(プロフ) - ゆいな♪さん» ゆいな♪さん、ストーリーをお褒め頂きありがとうございます(*´ω`*) 描写頑張った甲斐があります!これからもっともっと引き込んで行けるように頑張りますね!応援ありがとうございます! (2019年8月24日 23時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - あわわ、す、すごいです!ストーリも分かりやすいので、凄い引き込まれます!更新頑張ってください! (2019年8月16日 13時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ぽむぽむぽあろさん» ぽむぽむぽあろさん、ありがとうございます!そんな風に褒めてくださって嬉しいです!読み手に情景が伝わるように書くのが目標だったので(*´ω`*) 夏休みに入ったら更新速度上げられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年7月30日 22時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむぽあろ(プロフ) - 設定がしっかりしてるので、お話の内容がアニメーションになって頭の中に浮かびます。とても面白くて好きです。もっと伸びてておかしくないと思うので更新頑張ってください! (2019年7月30日 12時) (レス) id: b97deb3170 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ちょこころねさん» ちょこころねさん、はじめまして!世界観とキャラの設定は一番力を入れたところなので、そこを褒められるとめっちゃ嬉しいです!文章長いのに一気読み、おつかれさまです!ちょこちょこ更新するのでよろしくお願いします! (2019年1月18日 10時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えるふぃ | 作成日時:2018年9月23日 21時

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