In the storm 6

275 Hokuto side ページ25

Hokuto side








"俺だけ見てて"


この言葉にいろんな意味を込めた事
君は気づいてないだろうね



怪我してしまった京本の事は俺だって物凄く心配だ



他のクラスのやつに思い切りぶつかられてふらついた瞬間、倒れた俺たち

「いてぇ〜！」

なんて口々に笑いながら体を起こす3人に対して、綺麗な顔で目も開けずに横たわる京本がいて。俺も樹も何度も名前を呼んだ。樹は京本の体を揺らして、それを風磨が制止した



そんな俺たちなんか見えてない



勢いよく京本に駆け寄って
君は誰よりも必死に京本の名前を呼んだ
目が覚めた京本に、眉間を寄せて泣くのを我慢している君



そんな君を目の当たりにしたら応援してほしいなんて子供じみたワガママ、言えるわけない




"お前が見てなくても、ちゃんと一位獲ってくるから"





俺はどうしても君の前ではかっこつけてしまうみたいだ




宣言したからには個人種目で一位
クラスは優勝


高校最後の体育祭 有終の美を飾った








樹「ほぉくと、打ち上げ行くぞ」






今日は担任の奢りだ！なんて好き勝手に盛り上がるクラスメイト
隅っこで財布の中身と相談している担任






後ろを見れば２つ
隣り合わせに空いている机と椅子





その光景に少し胸が痛む





病院だってわかってる






格好つけて送り出したはずの俺の心は、体育祭終了と同時に緊張感から解放されたのか２人揃ってここにいない状況に少し心が騒ついた




北斗「俺、パス」





俺を誘ったあと他のクラスメイトと盛り上がってる樹にはきっと届かない声
俺の声が届いたのは２つあいた机の隣に座る、相変わらず派手な髪色のこいつ





風磨「パス無し」


北斗「気分じゃねえ」


風磨「そんな辛気臭い顔してたって仕方ねえじゃん」

北斗「そんな顔してねえよ」


風磨「お前って結構わかりやすいよ」


北斗「何が」





風磨「京本の怪我の具合も心配だけど、２人きりでいることが不安！それにAが落ち込んでいないか…」




うわぁぁ！！と普段の俺に似つかわしくない大声をあげて風磨の口を塞ぐ
クールキャラで通ってるはずなのに




風磨「ほら俺ってなんでもわかっちゃうからぁ」

北斗「ほんとお前だけは敵に回したくねえ」

風磨「どう見ても敵ではないだろ」





ほら行くぞ、と風磨が俺の腕を引っ張って立ち上がらせる。先には早く！なんて両手を振って待ってる樹。





重い腰を上げてカバンを手に取った









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