In the storm 6

274 ページ24

.







大我は自分の家じゃなくて私の家に帰る！と駄々をこねたけど、決定権はハンドルを握ってるお姉ちゃんにあって




『怪我人は家に帰れ！』



私を先に家に降ろした後、大我はそのまま連行されていった




仲良いなぁ、本当の姉弟みたい




今じゃそう思うのに何であの時はあんな勘違いしてたんだろ




こんな日がくるなんて想像しなかったな





少しずつ変わる毎日




それは北斗と隣の席になってから






たまに後ろを振り返ったり
たまに立ち止まったりしながら

それでも
一歩ずつ、一歩ずつ

前に進んできた



その先に待っていてくれたのはいつも北斗だった



「ただいま」



リビングのソファーに腰掛けるとキッチンからママがエプロンのまま飛び出してくる


『おかえり、お姉ちゃんから聞いたけど大我ちゃん大丈夫？』

「異常なかったよ。変わってるのは性格くらい」

『心配したわよ。もう2人とも帰っちゃったの？ご飯多めに作ったのに』

「怪我人は大人しくしろ！ってお姉ちゃんに連れてかれた」

『Aは？ご飯もう食べる？』

「埃っぽいし、先シャワー浴びる」




午前中しかいなかったけど、大我に駆け寄るとき必死で少しだけ汚れたクラスTシャツ。もう着ることないと思うと寂しいなあ


シャワーを浴びて部屋に戻るとスマホには一件のメッセージ



樹かな〜なんて髪を乾かしながら横目に視線をやると予想が外れて目を見開く




北斗今から出てこれる?





メッセージがきてたのは丁度お風呂に入ったタイミングで、シャワーだけで済ましたから早めに出てきたもののもう30分近く経っている



どうしよう？
今から？ふ、服着替えなきゃ！
でも髪の毛も乾いてない！
ああ北斗の事だからどこかで待ってるのかもしれない

すでに30分も経っているのにこれから髪乾かして…なんてしてたらいつになるやら


既読をつけたまま、返信に困っていると着信がなる。画面に表れた北斗の文字




「も、もしもし！」

北斗「今大丈夫？まだ病院？」

「さっき帰ってきてすぐお風呂入ってた。ので、メッセージには気づけずに…から今見た」


焦って日本語がめちゃくちゃになる私に北斗が電話越しにクスクス笑ってるのがわかる


北斗「今からちょっと会えないかなって」


「クラスの打ち上げは？行かなかったの？」


北斗「樹と風磨に無理やり連れていかれたんだけど抜けてきた」



"お前が気になって"



小さく呟く北斗の声を私は逃さなかった







.

275 Hokuto side→←273

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す