〜出会い(7)〜 ページ7
「却下ぁ!!」
「!?」
「ひっ」
「それ以上その娘の耳が汚れるような戯言を吐かないでもらおうか」
居ない筈の人物が大声で、扉を開け飛ばした事に白雪は目を丸くさせるしかなかった。
「ゼ…」
「な、何者だ。見張りは何をして…」
「大丈夫、大丈夫。見張ってますよ」
見張りの兵は、ミツヒデと木々に捕まり戦意喪失していた。
『ほんと余計な事を』
「ひぃっっー!い、いつの間に!」
木から伝って窓を蹴破ったクレアは、ラジの背後を取り首元に短剣を突きつけた。その間に白雪はゼンの元へと走り寄る。
「お前はまたそんな所から」
『人の事言えないでしょ?』
ラジの背後で短剣を突きつけながら、同類だからねと批難する。
「ゼン…!!」
「よう白雪。これ結んでくれほどけた」
「え、い、いやその前にあなたもクレアさんも体は…」
その言葉にゼンとクレアは、微笑むだけだった。
「そうか、毒を口にした者達というのは、君達のことか!」
『白々しい』
「いや不運なことだった!白雪どのを動けない様にして連れて来させる手筈だったのだが」
「…お前が林檎を寄越した張本人か」
「口の聞き方を改めろ男、私と君とでは身分が違うのだぞ」
『あんたこそ後悔するよ』
首元に少し力を入れると、また情けなく悲鳴をあげる。
「…これは失礼をラジどの。では面倒だが改めてお初にお目にかかる。私はクラリネス王国第二王子ゼン」
「…第二…王子!?ゼ…ゼン…しっかりして!」
今まで一緒だった人物が、隣国の王子だとは思ってもいなかった白雪は動揺が隠せない。
「正気だ、白雪」
『ゼンもあたしも、多少の毒は平気』
「ああ、万一に備えて少し慣らされててね…」
そう笑う二人の顔色は未だに、青ざめている。
「…だがまさか、隣国の王子にやられるとは思いもしなかったがな、ラジどの」
「…」
「本物、本物」
「ねぇ、旦那?」
「ほ…本当です!持ち物に紋章が…」
捕まった兵に目線を向けると、呆気なく肯定された。
『珍しいのがお好みなら、私は如何?』
「ただの銀髪には私は興味ないのだ。そこそこ珍しいかも知れないが、白雪どのに比べれば…」
『昼間はね…陽が沈むとあたしの髪は、何故か白髪に変わる。混じりけのない、白にね。これでも珍しくないと?』
首元から短剣が離れ振り返れば、陽が沈んでいく。クレアの髪は銀髪から純白に変わった。
「綺麗…」
「な、ほんとに変わっただと…」
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紅羽(プロフ) - 侵入者(2)の最後の方のハルカ侯爵の台詞で「第二王子付き側近の」のあとの夢主の名前が変換されていませんでしたよ!とっても面白いです!これからも応援しています!! (2018年8月2日 13時) (レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 図書館戦争の続きが気になります (2017年8月28日 12時) (レス) id: 4d7851a43c (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ゆりなさん、コメントありがとうございます!いまは、少し更新をお休みしてますが、これからも応援宜しくお願いします! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 何回読んでも飽きずに楽しませてもらいました!!途中にある絵も最高でした!オビかっこいい。。。クレアさんの書く作品大好きです。これからも応援してます! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 46ce333a3a (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - かぷさん» 応援ありがとうございます!読みやすいと言っていただけて光栄です!私の小説から原作を好きになって頂けたんですか!感謝感激です!これからもコメント頂けると嬉しいです! (2016年2月12日 1時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2014年10月7日 0時