〜謎の病(6)〜 ページ50
「お、何かわかったか?」
「いや兵舎内では何も、訓練場とかはすぐ調べるのは難しいな。雪かきがされてない」
ザクザクと雪を踏んで歩くゼンを、待機していたミツヒデは白い息を吐きながら聞いていた。
「只、武器庫が空になってた」
「武器庫!?なんでまた」
『見習い君も初めてしったって、顔だった』
「鉤爪の痕らしきものをクレア嬢が見つけたし、きっとこの隙を狙われたんでしょ」
塀の上に立つオビの横では、クレアはその塀に小さな雪だるまを五つ並べており、今は六つ目を手の中で転がしていた。
どこから拾ってきたのだろうか、木の実や、木の葉でゼン、ミツヒデ、木々、オビ、それにクレアにどこか似ていた。
「盗賊退治に切り替えますか!そっちなら得意分野だ」
「だろうな」
自分の武器を構え、悪い顔をすればゼンにあっさりと、仕舞えと言われるオビ。
「……」
「得意分野…白雪を応援に呼んだら?」
対処法を考えていたのかゼンは少し黙っていると、壁に身を預けていた木々が案を出した。
「あの子なら兵達の身に何が起きてるか、分かるかもしれない」
すぐそこの街にいるし。という言葉にミツヒデも賛成の様子であった。
「ーだな、そうしよう。ここを助ける事が先決だ」
ゼンはミツヒデに白雪を、今からここへ連れてくるように頼んだ。
『でーきたっ!』
「うわ、クレア嬢、何してるかと思えば雪だるま?」
「クレア、大事な話の最中だぞ…って、おっ」
「何々?へー、これをクレアが?」
「主も見てくださいよ!」
砦内に入っていこうとしたゼンも引き留めるミツヒデにゼンは、渋々こちらへと戻ってきた。
「クレアはまたお前は、遊んでばっかいるなと言った後だろ、で、なんだ?」
『あ、ゼン。やっと出来たよ』
ミツヒデ達の後ろから覗いてみれば、器用に自分達に似せた雪だるまが六つ並べられていた。
最後に完成したのは言わずとも分かるが、白雪に似た雪だるまだ。
「ほー、良くできてるな」
「昔からクレアは器用だったね」
『ありがとー。よしっ、さっさと解決しちゃうか』
簡単に言うな、とミツヒデに軽く小突かれたクレアを見て表情がほんの少し明るくなったゼンであった。
あいつ不思議だろ?と隣で歩いていたゼンに言われると、オビも思わず先程の雪だるまを思い出した。
「ですね。主とクレア嬢は、確か同い年でしたっけ」
「何だ、気になるのか」
「…」
これが済んだら教えないこともない。とゼンは不適に笑ったのだった。
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紅羽(プロフ) - 侵入者(2)の最後の方のハルカ侯爵の台詞で「第二王子付き側近の」のあとの夢主の名前が変換されていませんでしたよ!とっても面白いです!これからも応援しています!! (2018年8月2日 13時) (レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 図書館戦争の続きが気になります (2017年8月28日 12時) (レス) id: 4d7851a43c (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ゆりなさん、コメントありがとうございます!いまは、少し更新をお休みしてますが、これからも応援宜しくお願いします! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 何回読んでも飽きずに楽しませてもらいました!!途中にある絵も最高でした!オビかっこいい。。。クレアさんの書く作品大好きです。これからも応援してます! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 46ce333a3a (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - かぷさん» 応援ありがとうございます!読みやすいと言っていただけて光栄です!私の小説から原作を好きになって頂けたんですか!感謝感激です!これからもコメント頂けると嬉しいです! (2016年2月12日 1時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2014年10月7日 0時