〜宮廷薬剤師(8)〜 ページ44
「リュウ!クレアさん!」
『え、あたしも?』
ぐわしッ
『ぐっ、ぐぇ……く、苦しい。し、白雪……』
な、何があったの?と、いつもとは逆に抱きつかれているクレアは、ゼンに聞く。
「あー、俺達の薬歴を見たんだ」
『…そか。見ちゃったか』
「ーッ、ク、クレアさん…」
『よしよし、大丈夫ー。あれは昔の事何だしさ。もうなんともないよ、だから泣かないで、ね?』
それにリュウが心配してるよ。と白雪の頭を撫でながら話せば目元をぐしぐしと擦り、リュウの方へ振り向いた。
ばっ!
「リュウ、平気ですか!?」
「!?」
「私、驚かせたみたいで…すみません」
いきなり謝られたリュウは驚いて目を見開いた。
「なんで…来たの?さっきおれ、あなたの事怒らせたんじゃないの?」
そうしゃがみこんで話すリュウと白雪にミツヒデはなんの話か、ゼンに尋ねる。
「さっきって?」
「さあ?なんの事やら、俺には皆目見当もつかん」
「絶対、知ってるだろ」
『静かにー』
これまた何時もとは違いクレアに注意されるゼンとミツヒデ。それからクレアは二人に目線を戻した。
「ーリュウ、私の名前覚えてますか?」
「覚えてるけど…?」
「じゃあ、呼んでくれたら怒ってるかどうか答えます」
「!?いや…おれは」
白雪に言われ渋るリュウは、ふと先程クレアに言われた言葉と、ゼンの言葉を思い出す。
「……し……しら…ゆき……さん」
「はい!リュウ走ってくれてありがとう」
勇気を振り絞り名前を呼べば、にこやかに微笑む白雪にリュウはとても心が暖かくなった。
『じゃあ今度はあたし!はい、呼んで!』
「え、ク…クレアさん」
『うん、よろしくリュウ!あたしも敬語なしだからねー』
それと友達になったしあたしの秘密も教えれるね、も少しで。と言うクレアに首を傾げる。
『きっと、変わる瞬間は見たことないよね』
「……?」
「あー、そろそろか」
「すごい綺麗なんですよ」
ゼンと白雪の言葉に益々、訳がわからないといった表情のリュウに、クレアはも少し言葉を加えた。
『陽が沈むとあたしの髪は、この髪は純白に染まる』
「わっ……」
クレアの言葉と同時に陽がゆっくり落ちていき、銀髪は根本から純白に染まっていった。
「白雪さんが、ユラシグレでクレアさんが、コチョウカだね…」
「あ、リュウもそう思います?」
「うん」
リュウは嬉しそうに小さく微笑む顔に、クレア達も嬉しそうに笑うのだった。
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紅羽(プロフ) - 侵入者(2)の最後の方のハルカ侯爵の台詞で「第二王子付き側近の」のあとの夢主の名前が変換されていませんでしたよ!とっても面白いです!これからも応援しています!! (2018年8月2日 13時) (レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 図書館戦争の続きが気になります (2017年8月28日 12時) (レス) id: 4d7851a43c (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ゆりなさん、コメントありがとうございます!いまは、少し更新をお休みしてますが、これからも応援宜しくお願いします! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 何回読んでも飽きずに楽しませてもらいました!!途中にある絵も最高でした!オビかっこいい。。。クレアさんの書く作品大好きです。これからも応援してます! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 46ce333a3a (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - かぷさん» 応援ありがとうございます!読みやすいと言っていただけて光栄です!私の小説から原作を好きになって頂けたんですか!感謝感激です!これからもコメント頂けると嬉しいです! (2016年2月12日 1時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2014年10月7日 0時