〜誘拐された赤髪(7)〜 ページ17
『…離せ』
「…わーったよ。離すから、そんな睨むな。いい女が台無しだぞ」
『この縄が切れたら、この屈辱、倍にして返してやる…』
睨み付けるクレアを仕方がなく、壁に寄りかかるように座らせれば、近くの物入れ箱に座る巳早。
「私達…をどこかに売ろうって話…?」
「物騒だな、献上だって献上。金持ちの物好きは腐るほどいるんだぜ」
「(どうしてそういう事を思いつくの…!?逃げなきゃ!)」
白雪は縛られた腕を何とか外そうと、小さくもがくがやはり外れない。
「まーでも、もっと長く伸びるまで待つのもありかな。それまで俺の傍に置いておくってのも悪くねぇし、なぁ赤髪?」
巳早は白雪の左腕を掴み引き寄せれば、頬に手を這わせて不適に微笑む。
「うぉ…」
『…痛ッ…た…』
「クレアさん!」
「行って白雪」
隙を伺っていたクレアが、巳早に体当たりすると体勢を崩し、床に派手に倒れた。
「クレアさん、だ、大丈夫ですか?」
『あたしはいいからっ…早く!』
頷いた白雪は、牢から出ようと走る。
「こっの…逃がすか、ふん」
『白雪!』
「言っとくけど、ここ山ん中だぜ赤髪。あんたとその銀髪だけで逃げられると思うわけ」
足を引っ掛けて床へと転がした白雪は、倒れてもなお、巳早が話している間に、気づかれないよう縄を外そうとしている。
「俺としても丁重に扱いたいんだけど、大人しくしててよ」
『…(白雪、まさかほどけたの?)』
「…!!…っ私は自分で行くと決めた場所があるので他を当たって下さい!!」
偶然ほどけた縄を外し近くに落ちていた酒瓶を松明に向けて投げると、火を灯していた木が巳早へと振りかぶる。
「どこを狙っ…熱っつう…」
「クレアさん、大丈夫ですか?」
『しめたっ!っ…よしっ!ありがとう白雪っ、行こう、今のうちに!』
近くにいたクレアにも軽く火の粉が飛んだが、お陰で割れた酒瓶の破片で足だけ縄を外すことが出来ると、牢の外へと走った。
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紅羽(プロフ) - 侵入者(2)の最後の方のハルカ侯爵の台詞で「第二王子付き側近の」のあとの夢主の名前が変換されていませんでしたよ!とっても面白いです!これからも応援しています!! (2018年8月2日 13時) (レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 図書館戦争の続きが気になります (2017年8月28日 12時) (レス) id: 4d7851a43c (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ゆりなさん、コメントありがとうございます!いまは、少し更新をお休みしてますが、これからも応援宜しくお願いします! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 何回読んでも飽きずに楽しませてもらいました!!途中にある絵も最高でした!オビかっこいい。。。クレアさんの書く作品大好きです。これからも応援してます! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 46ce333a3a (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - かぷさん» 応援ありがとうございます!読みやすいと言っていただけて光栄です!私の小説から原作を好きになって頂けたんですか!感謝感激です!これからもコメント頂けると嬉しいです! (2016年2月12日 1時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2014年10月7日 0時