勇気 ページ20
「たすけてください」
「一言目がそれか」
今日、ついにこいつのデビュー日
デビューショーケース見に来てください、っつーから仕方なく来てやった。
…仕方なく、だ。
そしたら、だ。
舞台裏で見ようと思って待っていたら、突然こいつに引っ張られて…まぁ冒頭に至るわけだが。
「は、発声練習ってどうやるんでしたっけ!!」
「…あー」
やっぱりか。
まぁ最初だしな
こいつでも緊張すんのか…
始まるまであと数時間…ってところ
「大丈夫か?」
「…さっきのリハで、歌詞ぶっとんじゃって…」
「全然大丈夫じゃねーじゃねーか」
見に来てください!って自信満々に言ってたあの姿勢はどこいった。
「落ち着け。とりあえず深呼吸しろ」
「し、深呼吸って吸うのと吐くのどっちが先ですか?」
「どっちでもいいわ」
俺もデビューする前はこんな感じだったな…
「大丈夫だ。なんとかなる」
「もし、失敗しちゃったら、バンタンさんに迷惑かけちゃいます…じ、事務所だって…」
震えてる手…
ああ、俺が言ってやらないと。
「A」
下を向いてる顔を無理やりぐいっと引っ張る
今日初めて見た瞳は、すごく泣きそうな目をしていた。
「緊張すんのは当たり前だ。だから緊張すんなとは言えない。だけどちゃんと前だけ見ろ。カメラだけを見るんだ。絶対に下は見るんじゃねぇ」
「…シュガさ」
「俺達の心配よりも自分を信じろ。お前には歌がある。歌うことが楽しいんだろ?それを怖がってどうすんだ!」
「…っ、」
「歌が…お前にとっての最強の武器なんだろ
それがあるのに、何に怯えてんだよ」
…熱くなりすぎた。
わりぃ、と顔から手を離した。
頬っぺ柔らかかった、とかいらんことは考えない。
なんとなく気まずい時間が流れた時、
「…ふふ、」
「あ?」
「…今の、録音していいですか」
「はぁ!?」
「だって今、私の名前呼んでくれました」
一気に顔が熱くなる。
「お、おまっ、ぜんぜ、」
「はは、冗談です。でもすごく勇気でました」
死にてぇ…
「シュガさんすごいですね。そんなこと言われたの初めてです。歌が武器なんて…」
「こちとら月並みな言葉を発し続けるしか特技がないんでね…」
「違いますよ。シュガさんの言葉は、飾り言葉なんかじゃないです」
いつの間にか潤んでいた目はまっすぐな瞳に変わっていた。
「いってきます」
そう言うと、今度はしっかり前を向いて歩いていった。
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どーん(プロフ) - ももじゅんさん» ご指摘ありがとうございます! (2018年3月10日 13時) (レス) id: 8428f10979 (このIDを非表示/違反報告)
ももじゅん(プロフ) - 過保護のページで「避難したい」は「批難したい」ではないでしょうか。修正お願いします! (2018年3月10日 12時) (レス) id: eef8b7311d (このIDを非表示/違反報告)
ほの(プロフ) - なるほど、わかりました!! (2018年3月5日 0時) (レス) id: dd4f4b9a77 (このIDを非表示/違反報告)
どーん(プロフ) - ほのさん» ありがとうございます!私もそれ思っていたのですが、変える機会をいつにしようか迷ってるうちにズルズルと…となってしまってるのでこんなことになりました(´;ω;`)ご指摘ありがとうございます! (2018年3月4日 11時) (レス) id: 8428f10979 (このIDを非表示/違反報告)
ほの(プロフ) - いつも読ませていただいてます!!ドキドキしっぱなです笑笑これからも頑張ってください!少し気になったのですが、ナムさんがラプモンになっていますが、RMに変わったので、、、と思いました!これからも楽しみにしてます!! (2018年3月4日 1時) (レス) id: dd4f4b9a77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どーん | 作成日時:2018年1月14日 11時