沖田さん、それ以上近づかないで下さい【沖田総悟】

沖田さんはからかい上手12 ページ43

銀時さんと、土方さんが店から出ていき、店の中は静かになった。




｢………｣





何故、私はこんなに冷静なのだろう。普段ならすぐにぶっ飛ばすなり、体折り曲げるなりするのに、今回は分かっていても、体を動かせない。




(…………抱き締められてる……。恥ずかしい……)





頭ではそう理解していても、振りほどくことも出来ないし、罵声怒号すら浴びせられない。




(……まだ離さない……。)





沖田さんはどういうつもりなのだろうか。だまって私を腕の中にしまい込んでいる。





時折、沖田さんの腕の角度が変わったり、顔の位置が変わったりするが、私を解放しようとはしない。





聞こえるのはお互いの息の音と、私の鼓動だけである。





｢………お、沖田さ…………………｣





｢俺の事、怖いですかィ？｣





やっと口から出た言葉も、沖田さんの声によってかき消された。




｢……｣




自分は、沖田さんの事をどう思っているのだろうか。




敵？それは違う。




じゃあ好き？………微妙。




それとも、お友達？………………………。





(でも、なんでか分かんないけど、安心する……。)





私は、沖田さんの腕を振りほどかず、しばらくその状態で止まっていた。

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