14 ページ15
横たわる彼に駆け寄って、その場にしゃがみこんだ。
腕、肩、足、胴体。
それぞれ2本ずつほど矢が刺さっている。
首に手を当てれば、浅いがまだ息はあった。
まだ時間がそんなに経っていないのに、血が染み込んで地面に赤い染みをどんどん広げていた。
｢ヤバ、早くしないと大量出血で死んじゃう、っ｣
｢Aっ、運ぶなら早くして！！｣
｢菊さん！！！！！｣
後ろから菊さんも走ってきてくれていたらしい。幸い、あの軍団達は馬車に夢中でこちらのことなど目も向けていなかった。
矢に触れないように脇に手を入れ、体を持ち上げる。
意識のない人間は、普段より重くなる。
まあ、それだけが原因じゃないのだけれどもとにかく、死ぬ程重いって話・・・・です。
うっ腕が死んじゃうよー！折れる！無理！
｢ちょっとA、ちゃんと持ちなさいよォ！！！｣
｢無理無理無理腕折れる！！！｣
｢あとちょっとなんだからーー！！！｣
ゼェゼェ言いながらやっとの思いで馬車に運ぶと、運転手さんに感嘆した声色でにっこりと笑顔を浮かべられた。
｢お客さん、情の心がすげえな！！！国まで飛ばすぜ！｣
｢お願いします！｣
私の一声で、馬車が勢いよく走り出した。
彼の応急処置をしようと、自分のカバンの中身を漁る。
大量出血に呼吸困難。ここには輸血パックもアネキセートもない。
とりあえず、矢は抜かずにステロイド軟膏を塗ろうと鞄から取り出す。
｢ステロイド、作っといて良かったわね｣
｢いやほんとですね。とりあえず、帰ったら絶対点滴だな……、お願い耐えて…！｣
大量出血は、即死に追いやられる程危険である。
つまり、今の状態は正直いつ死んでもおかしくない。
応急処置はできる限りやった上では彼の生命力に頼るしかなくて、祈るように彼の手を握った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1452人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
宇琉夜ハル(プロフ) - 後 side ほしいです (2021年4月30日 19時) (
レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 後名前がわかったら zm｢あ｣ 見たいなん欲しいです (2021年4月30日 19時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 出来れば夢主のセリフ『』こうしてください 時間があればでいいんで (2021年4月30日 18時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
叶子(プロフ) - 晴さん» それは良かったです！！ありがとうございます！めちゃくちゃ遅れましたが見てますよ！！！頑張ります！！！ (2021年2月21日 20時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
叶子(プロフ) - 通りすがりの亀さん» 最初はその予定でしたが、主人公が後悔することのないようにヘイトを向けさせて上層部をクズに仕立てあげました(^^ ありがとうございます！頑張ります！！！ (2021年2月20日 21時) (レス) id: 9eb6eeed7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚
| 作成日時：2021年1月31日 9時
