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·






「······A?」






私の名前を呼んで、その場に立佇むだけで、
決して近寄ってはくれない裕太に
そんな小さな仕草でも胸が痛む。






「俺、外出てきますね。
二人っきりで話してください。」





また気を遣って
外に出ていこうとするニカちゃん。




咄嗟に裕太の手を握って、
ドアノブに手をかけようとしているニカちゃんを
阻止するように前に立った。




「・・・・・本当にありがとう。
たくさん迷惑かけてごめんなさい。
ニカちゃんは、ここにいて?」




少し何か言いたげに、
“分かりました。”って頷くニカちゃん。




少し強引かもしれないけど、
私は裕太の手を握りしめたまま
玄関を飛び出した。






·





寒いなぁ、とか。

今日は星見えないなぁ、とか。



なぜかこんなにも
冷静になれる自分が逆に怖い。






でも、裕太はびっくりしてた。
私に手を握られた瞬間、
少しビクッとしてたこと、気づいてるんだよ。


手に触れただけで、
どうしてそんなにびっくりしちゃうの?
ちょっとだけ、寂しかったんだよ。





「·········握るの?」




裕太が目線をやる方には、
まだ繋いだままだった私たちの手。




「········ごめっ、」






咄嗟に離したら、
裕太は切なそうな顔をしてた。



ねぇ、どうしたらいいの?
近くには触れられるはずの裕太の手があるのに、
簡単に触れられないの。傷つけちゃいそうで。
でもね、触れられないなら触れられないで、
今、ものすごく寂しいし、






おかしくなっちゃったかな、私。
でも触れたいのは確かなんだよ?
裕太はどう思ってる?
もう、触って欲しくない?





「········手、握っちゃだめ?」




恐る恐る顔を上げたら、




「······ん、」




何も言わずに差し出してくれた手のひら。
デートの時と一緒の出し方だ。






「···········話したいことがあるの。
寒いから、家まで来てくれませんか?」






裕太がこくっと頷くのを確認した私は、
もう離れないよっていう気持ちと、
離れていかないでね?っていう想いを乗せて、
さっきよりもぎゅっと手を握り返して
また足を動かし始めた。

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あい(プロフ) - たまことさん» いえいえ!こちらこそ意見をいただけて嬉しいです^ ^私の作品は結構そういうシーンになりそうなところが多いので、なんだか書けそうですね・・・・(笑)この続編が終わって余裕がありそうでしたら、書いてみようと思います。ありがとうございました。 (2018年2月21日 15時) (レス) id: dd8208cd00 (このIDを非表示/違反報告)
たまこと(プロフ) - 無料→× 無理→〇 (2018年2月21日 0時) (レス) id: 0e0e4ba0aa (このIDを非表示/違反報告)
たまこと(プロフ) - コメントありがとうございます!そうだったんですね…!無料言わせてすみません汗 それなのに検討してくださってありがとうございます!更新頑張ってください! (2018年2月21日 0時) (レス) id: 0e0e4ba0aa (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - たまことさん» コメントありがとうございます。そういう描写はあまり得意ではなくて、避けてきたんですけど・・・・たまことさんのお気持ちを受け止めつつ、挑戦してみようかな?どうなるかは分かりませんが前向きに検討してみます!ありがとうございました^ ^ (2018年2月20日 22時) (レス) id: dd8208cd00 (このIDを非表示/違反報告)
たまこと(プロフ) - 更新お疲れ様です!裕太くんとの関係もこれからどうなっていくのか気になります!出来たらなんですが主役ちゃんと裕太くんのpinkストーリーは作ることはできないですか?もしもでいいので考えていただければと思います!更新&返事待ってます (2018年2月20日 0時) (レス) id: 0e0e4ba0aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2018年2月19日 23時

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