131話 ページ44
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甘かったなあ、と思う。
甘かった。
Aは、俺たちが想像してるより何倍もつらい思いや寂しい思いをしてきたはずで、それを今更覆すことも、ましてやその過去を消すことなんてできるわけが無い。
わかっていたはずだった。
＿＿だいぶ落ち着いた、ありがとう太刀川さん。
太刀川さんのおかげで、だいぶ。もう、さっきほど苦しくはなくなったし、みんなに酷いことをやったなって反省もしてる。迅さんに、酷いことを言ったなっていうのもすごく思う。
でもさ、太刀川さん。私は、私が迅さんに言った事を……間違ってたことだとは思ってない。
何より、迅さんも今まで何度も言われてきたことだと思うんだよね、近くにいた太刀川さんなら知ってるかもしれないんだけど。
迅さんが………ボーダーを、未来を譲れなかったように、私にも譲れないものがある。私は、親が死んじゃって孤独になるくらいなら………私が死んだ方が良かった。散々寂しい思いして呆気なく会うことすら二度と叶わなくなるなんて、そんなこと望んだ覚えない。
私は、親も、迅さんも憎い。でも、それと同じくらい大好きだから…………今は、どうしたらいいかわからない。
一気にそう言って困ったように笑った彼女は、どうしようもない苦しみを笑顔に隠し、抑えていた。
迅は、許されることを望んでる。でも、Aは今は無理だと言う。
俺には、どうしようもないことだ、と思った。見守ることしかできない。
俺は、未来が見えたことも、親が死んだこともない。
ないものは何も分からない。
だからこそ、見守っていこうと思った。
「そっか、俺はそれでいいと思うぞ」
「………太刀川さんは優しいねえ」
「だろ？」
「ちょっと太刀川さん、そこでだろって言っちゃったら台無しじゃん」
飲み物買ってきてやるよ、と言って自分たち以外に誰もいない会議室を出た時、後ろでAがどんな顔をしていたか。
＿＿＿＿ここで気がついていれば、何かが変わったかもしれない。
そう思うのは、随分と後の話になる。
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天(プロフ) - 何も言わずに旋空弧月さん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです。ちょうど一話更新したのでもしよかったらぜひ！これからも低速ではありますが更新していきたいと思うのでよろしくお願いします！ (2021年5月27日 22時) (
レス) id: b90335b0cc (このIDを非表示/違反報告)
何も言わずに旋空弧月 - ストーリーに惹き込まれ一気読みしました。大好きです。作者様の都合もあると思うので気長に更新を待ってようと思います。 (2021年5月27日 20時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - 天さん» いえいえ！作者様にも事情がありますし、こうしてまた更新します！と言う言葉を見て、帰ってきたー！と嬉しかったです！はい！こちらこそ、これからも宜しくお願い致します！ (2021年4月11日 12時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)
天(プロフ) - Yu-grenaさん» コメントありがとうございます！本当ですか……長い間更新が止まっていて申し訳ないです……すごくうれしいです！これからもよければよろしくお願いします！！ (2021年4月11日 6時) (レス) id: b90335b0cc (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - 初コメ失礼します！天様のワートリ小説(三輪くん)のお話、一から読んでて…大好きです！これからも無理せず、お体に気をつけて頑張ってください！応援してます！ (2021年4月11日 0時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天（元れたす。） x他1人 | 作成日時：2020年1月2日 14時
