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焦りと決意 ページ5

2 side

その声を、俺は聞き逃さなかった。

確かに聞こえたんだ、あいつの名前を、男の声で。

本番中なのに、咄嗟に声のした方に視線をやると、人混みから逃げ出そうとしてる長身の男。

あいつが言ったんだろうか。

あいつの視線の先に、彼女はいるんだろうか。

たまたま同じ名前だった可能性もあるのに、そうじゃないことを願ってしまう。

もし今本当にいるのなら、この目で見たい。


「OKでーす!休憩入りまーす!」

タイミングよくスタッフさんの声が聞こえて、俺はすぐに断りを入れる。

2「すいません!すぐ戻るんで、ちょっとあっちの方行ってきます!」

焦ってる俺に驚いてるスタッフさんの返事を待たず、走り出した。


「きゃ〜〜!!」

「ニカちゃ〜〜ん!!」


しまった。

ロケの途中だったから、あの人混みの中からファンの子が追いかけて来てる。

これじゃあもし見つけられても近づけない、、



ゆっくりと速度を落としたところで、さっきの男がキョロキョロしているのが見えたけど、

踵を返して元の店に戻った。













prrrrr...

『お掛けになった電話番号は...』

2「はぁ、、」

これで3回目。さすがにキモいぞ。

単純に出られないのか、

俺の番号なんてとっくに消してるからか、

俺と分かってて出ないのか、、

最後のはキツイな。




あのあとのロケは正直あんまり記憶にない。

家に着いてすぐ電話して、、

何に焦ってんだろ。

あの男、かな。

ていうか、あの男が彼氏だったらもう俺の出る幕ないじゃん。


、、、、無理。


そんなの耐えられない。

あいつが誰かの元に行ってしまうって考えたら、胸の中ぐちゃぐちゃにされてるような、そんな感覚。

あいつが俺から離れるより断然つらい。


なんなんだよ今更。



何か行動を起こしたいのに、考えることしか出来ない無力さに苛立つ。

もう一度会いたい、もう一度チャンスが欲しい。






prrrrr.....


s『もしもし?ニカ?』

2「会いたい。」

s『えっ!?///』

2「俺、あいつに会いたいんだ。」

s『あ、なんだ、、って、え!?』

2「あいつが他の奴に取られるの、耐えられないかも。」

s『、、、うん。それを待ってた。頑張れ!』


何で千賀に宣言してんのか分からないけど、自分の気持ちを言葉にしてみたかった。

大切な人→←突然の彼



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設定タグ:キスマイ , 二階堂高嗣   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ちーず | 作成日時:2018年3月6日 13時

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