明日の天気の話をしよう 6th【ars】 (ページ16)

今日:5 hit、昨日:15 hit、合計:958,911 hit

191.大人に近付く。ページ16

秋も深まって来て、着る服は長袖が増えた。

相葉くんは本格的に社員になる準備が始まったらしく本社で研修してて、前ほどお店に出て来なくなった。

「Aさん、これはここに置いておけば良いですか？」
「うん！ねぇミワちゃん、仕事慣れて来た？」
「はい！お陰様で！」
「そっか、そっか」

新人さんも入って来て、私も先輩になっちゃったりしてる。

自分の仕事をしつつ、新人ミワちゃんの教育係をしつつ終わらせたランディナの勤務。

着替えてホールに出たら、同時に入店して来た人が居た。

「Aちゃん、お疲れー！」
「あっ！相葉くん！」

黒髪も見慣れて来た相葉くんが、スーツ姿で片手を挙げる。

「どーしたのー！？スーツ！」
「今日は本社でシャチョさんと面談だったの」
「そうなんだぁ、格好良いね！」
「そう？」

相葉くんが、ヒロミゴーみたいにバサッとジャケットプレイ。

「あのー...Aさん、お疲れ様でした」

バサバサやってる相葉くんを見てケラケラ笑ってたら、仕事上がったミワちゃんが遠慮がちに声を掛けてきた。

「ミワちゃん、お疲れ様！あ！もしかして、相葉くんまだ会ってなかったんじゃない？」
「ん？あ、新人さん？俺、久々にこっち来たもんね」

相葉くんが、ニコッと笑ってミワちゃんを見る。

「初めまして！相葉雅紀です。一応、ここの店員だからその内一緒に働くね！よろしく！」

私との初対面の時と同じように、握手をもとめて人懐っこく手を伸ばす。

「あっ...須藤ミワです。よろしくお願いします！」

挨拶を終えたミワちゃんは、ペコペコしながら帰って行く。

「可愛い子だねー」
「ミワちゃん、まだ19歳だよ」
「やだっ！未成年！犯罪の匂いがするね！」
「フフッ、何する気なの」

アハッ！って笑った相葉くんが「ねぇ、Aちゃん。今から暇？」って首を傾げる。

「もう、モッテモテで夜の予定がビッチリ！...と言いたいけど、暇」
「だと思った！」
「いやいや、相葉くん。失礼だから」
「三十四、行かない？」
「行く！」

失礼発言もスッカリ忘れて、三十四にテンションが上がった。

ロマドーを相葉くんと歩くのも久しぶり。

黒髪とスーツの相葉くんを見て、大人になるってこーゆー事なのかなぁ...とか。
成人式もとっくに終えてるのに、思ったりして。

「おーちゃん！おひさしブリーフ！」

見た目は大人、中身は子供な相葉くんが三十四の扉を開いた瞬間

美味しそうなラーメンの匂いに包まれた。