33 ページ33
本気って、え？
「それってどうい「お待たせいたしました！いよいよ＿＿＿」」
「・・・始まるみたいだよ」
真面目な顔した彼から唐突に放たれた言葉の意味を
聞き返そうとしたけど、
元気なイルカの調教師さんの声に遮られた。
それと同時に、
さっきまで私を真っ直ぐ見つめていた一ノ瀬君の視線も
私から外れて。
「うっわ近いねー！」
いつも通りの、無邪気な顔に戻る。
「っ、」
一ノ瀬君の言葉が胸につっかえて
ショーに集中できない。
そうさせたのは一ノ瀬君だっていうのに、
本人は楽しそうに笑ってるし。
・・・余計にイライラする。
「では今度はー、
会場のみなさんにもご協力をお願いしたいと思いまーす！
まずは皆さん、両手を上にあげてくださーい！」
「Aさん、両手上にあげるって！」
「・・・私もやるの？」
遠足か何かで来ているに違いない幼稚園生たちが
わきゃわきゃとはしゃぎながら両手を上げている。
その隣で三十路が言われたとおりに両手を上げるなんて
・・・痛々しいんしゃなかろうか。
「そーゆーことは気にしなーい!!」
ほら！と無理やり両手をあげさせられて、
こっちの方が自分であげるよりよっぽど恥ずかしかった。
「私が"せーの！"と言ったら、左右に動かしてくださいね！
準備はいーですかー？せーの！みぎ！ひだり！みぎ！ひだり！」
私達の手の動きに合わせて、
イルカは頭を振る。
・・・可愛い。
幼稚園生の子たちの中には
調教師さんの声なんか聞いてない子も多くて。
だから手の動きは左右バラバラ。
だけどイルカは、しっかり調教師さんの手の動きに合わせて頭を振る。
「凄いね、ちゃんと調教師さんの手見てるんだ」
「すっごい練習したんだろうね」
ちゃんと調教されてる、
なんて言ったら、動物たちが可哀想になる。
人間が楽しむために、強いられているような気がして。
「きっとすっごい仲良しなんだよ」
「っ、」
「調教師さんがイルカのこと大事にしてるから
イルカもその気持ちに応えようとしてるんだよ」
「・・・・・・。」
なんとも道徳的な考え。
一ノ瀬君らしい、なんていうか、温かい考え。
「俺もAさんのこと大事にするから、
いつかAさんも応えてね」
「っ、」
ずいぶんと都合の良いこじつけ・・・。
「あーお腹すいた！
なんか食べよっか!!」
そしていつも通りマイペース。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Julia(プロフ) - イチゴさん» レス遅くなってごめんなさい！とっても嬉しいお言葉、本当に感激しています＞＜これからもどうぞよろしくお願いいたします・・・！ (2018年1月7日 0時) (
レス) id: 5d9e2ea9d3 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - なんか言葉だけじゃ表せないぐらい面白かったです！なんか意味不明ですかね？(-ω-;) あと焦らずゆっくり更新頑張ってください！(*´▽｀*) (2018年1月3日 2時) (レス) id: 5cdffbbcc0 (このIDを非表示/違反報告)
Julia(プロフ) - 翡翠葛@優杏さん» コメントありがとうございます！一ノ瀬君の可愛さがより伝わるよう、これからも頑張ります！！これからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2018年1月2日 15時) (レス) id: 32a8b9c6f7 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠葛@優杏(プロフ) - 一ノ瀬くん可愛すぎやしませんか…？一ノ瀬くん可愛いし文の書き方好きだし…むっちゃおもしろいです！ (2018年1月1日 23時) (レス) id: 3eab18cbf5 (このIDを非表示/違反報告)
Julia(プロフ) - リンクさん» レス遅くなってしまってゴメンナサイ！とっても嬉しいです、ありがとうございます(/ω＼)更新頑張りますのでどうぞこれからもよろしくお願いします！ (2017年11月22日 1時) (レス) id: 5d9e2ea9d3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Julia | 作成日時：2017年4月22日 12時
