恋占い、一回1000円。

30 ページ30

「水族館とかちょー久しぶりなんだけど!!」


ゲートを通ったとたん

小学生のようにはしゃぐ一ノ瀬くん。


いや、

最初から小学生男子みたいなんだけど。


首からぶら下げたカメラを

大事そうに持って走る。


歩かずに、走る。←



「うっわ!!」


・・・早速何か見つけたらしい。

何かっていうか、たぶん魚だと思うけど。


・・・私、

今日一日このテンションに

果たしてついていけるんだろうか。



「Aさん遅いよー!!」


「一ノ瀬くんが走るからでしょ」


ちなみに私は走らない。

当然だけど。


他のお客さんにチラチラ見られてる彼に

ゆっくり歩いてついていく。



「この魚めっちゃ可愛くない!?」


何をはしゃいでるんだコイツは・・・

近寄って視線の先を追うと、



「・・・え、なにこの魚」


淡いピンクと黄色の、

絵で描いたみたいな鮮やかな色の魚。



「・・・めっちゃかわいい」


・・・なんか、ザ・南国なカンジ。



「でしょ!!」


「熱帯魚ってこんなトロピカルだったっけ？」


「トロピカルって熱帯って意味だよAさん」


「あ、・・・そっか。

じゃあ何て言うんだろ、フルーティー？」


魚なのにフルーティーってなんか変だな。

・・・ダメだ、うまい言葉が出てこない。


とにかく、

久々にじっくり見たら

熱帯魚ってめちゃくちゃかわいい。


ちっちゃくてカラフルで。

目とかまんまるだし。



「あー、こっちカニとかいるよ！」


いつの間にか隣からいなくなった一ノ瀬くんは

"ふれあいOK!!"と書かれた水槽の前にいた。



「海老もいるじゃん！」


海老と言っても

赤くて美味しそうなカンジの海老ではなくて。


青紫色の、毒々しい色をした海老だ。



「これ絶対海外にいるヤツだよね」


「うん、それっぽい。」


海老には申し訳ないが、

美味しくなさそうだな、なんて思ってしまう。



「Aさん、あっち行こ」


「うん」


海老に別れを告げて

一ノ瀬くんについていく。



・・・なんか、小学生の頃に戻ったみたい。

そういえば、中学修学旅行でも水族館に行った。


・・・結構楽しいかも。





・

31→←29

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す