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元カノは記憶力がない。 ページ5

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「水原ッ!」

太宰は勢いよく探偵社の扉を開けた。



国木田から逃げ、撒いてから探偵社に着いたため道も知らないAよりも遅かったのだ。



「おヤ、彼氏の登場だねェ」

探偵社専属医の与謝野晶子がニヤついた表情で太宰を見る。



「おぉ!太宰じゃん!先刻振り!」



先刻振り!じゃあないよ、太宰は切実に思った。


職場までバレた挙句(あげく)、面倒な人に(元)彼氏だとバレた。

もう、これは今世紀最大の危機だ。



「水原、少し大人の話をしようか」

太宰は事務スペースの応接間の長椅子に座るAの首根っこを掴む。



「おやおや、痴話喧嘩かい?」


「与謝野女医(せんせい)…!」

与謝野の発言に脱力した感じで云う太宰。



太宰は疲れた。

もう此の場から早く立ち去りたい一心で社内を出る。



「如何して与謝野女医が私達の関係を知っているのだい?」

太宰は廊下にAを正座させ訊く。



絵面的にアウト。



「何でだろ、もしや…、与謝野さんが超能力者だからじゃない!?」



それはない。


与謝野が超能力者なのではなく、Aが自分から云ったから知っているのである。

ただの莫迦である。



「……探偵社に入る時に何て自己紹介をした?」



太宰は凡て読めた。

長い間の付き合いだ、大体は判る。大体は。



「ん〜?確か、『酒好き!金くれ!』だったよ〜な」



最悪である。

このノリだと要らない事もAが喋っている気がしてならない。



「『我は太宰の彼女でした!』とか云ってないのかい?」


「あ!云った、云った!『自然消滅した元彼女です!』って!そしたら皆、凄い声で叫んだよ」

それが如何かした?、とAは云う。



如何かした?ではない。

如何かしたのである。


女癖が悪すぎる太宰の元彼女であるため何かあるのでは、と探り入れられてる筈だ。

そしたらまた要らない事を喋るかもしれない。それだけは絶対避けたい太宰である。



「水原、死ぬまで私の家に居ていいから、絶対に、何も、特に、前職の事は、絶対の、絶対に、皆には、云わない事、いい?」

太宰はAの肩を掴み圧をかけ云う。



「マジで!?やった!家ゲットだ〜!ちょっと、与謝野さんに云ってくるよ!」


「…話、聞いてたかい?」



太宰の苦労は続く。




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元カノは何も察せない。→←元カノは学習をしない。



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シュピーゲルアイ - 大好きです。更新待ってます。 (4月9日 21時) (レス) @page37 id: af33028691 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ - 好きすぎます (2月20日 3時) (レス) @page37 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
米粉めこ - 最高です!面白すぎて腹筋こわれましたwww (12月10日 18時) (レス) @page36 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - こういうお話好きです!続き待ってます!!! (2022年9月18日 16時) (レス) id: f16cf667ce (このIDを非表示/違反報告)
遠藤氏(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» 自分も笑ってこようって思いまして、入社試験の回を読もうと思ったらどれが入社試験の回なのかわからず、どうしてこんなサブタイにしたのか後悔してますwww (2022年7月30日 18時) (レス) id: d7905a84e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遠藤氏 | 作成日時:2020年5月13日 20時

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