元カノは帰国しない。 ページ35
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それからAは日本に戻ってきた。
太平洋の島に彼女は先刻までいたが、実を言うと世界各国を旅していた。
この旅の名は『ぶっ飛べ!地球の彼方へさあ行こう!太陽を追いかけるのだ!あーっはっはっはっは』である。
「久々の日本最高!寿司食おう寿司!」
と、Aは携帯電話を出しある男に電話をかけた。
「あ、もしもし?今から寿司食いに行かね?」
[ 手前ェは俺が暇だと思ってんのか ]
電話先の主は中原である。
彼は先の戦いで探偵社側にAがいなかった事を知らない。
それよりか探偵社員になった事も知らない。
「久しぶりに食べよう!三人で!」
[ 死んでも嫌だ ]
「そっか、なら芥川と中原の恥ずかしい話を語りながら食べてくる!」
中原には数個の恥ずかしい話があった。
賭博が得意なAとどちらが太宰にお姫様だっこしてもらうかで競い合った結果、彼は太宰にお姫様だっこされた。
あの時はわざと負けるようにしていたのに『負けた方が勝ちね!』と勝負がつき終わった時に云われたからだ、と中原は未だに恥ずかしい、否、死んでも隠したい話である。
[ やめ、 ]
「どれがいいかな、やっぱあれかな森さんに見られた……」
中原の拒否する言葉を遮り彼女は淡々と喋り続ける。
___やっぱ、あの時の。
___でも、17歳の誕生日は。
___しかし、初めての共同作業で。
中原は深呼吸をして、電話を切った。
こんな頭おかしい奴に時間を割いてる暇はポートマフィア幹部にない。
『20時 横浜駅西口』
心優しい中原はとりあえずAにそう連絡を入れた。
彼女はまだ電話を切られた事に気付かず、一人で喋っているだろうと彼は思う。
だって、彼女、手に負えないほどの阿呆なんだもの。
* * *
「Aさん、いつ帰ってくるんですかね」
中島は隣の
色々な事に終止符が打たれ、今ではすっかり探偵社も平和が訪れている。
「さあ、彼奴の事だからもうすでに日本にいるかも」
「え?Aさん、海外にいたんですか??」
太宰は一人だけAが日本にいない事に気付いていた。
それは連絡が来たとか、江戸川の推理とかではない。
ただの直感だ。
「暇だからって理由で太平洋に浮かんでなきゃいいんだけどね」
その太宰の願いは叶いもしなかったのが事実である。
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旅名の命名:A
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シュピーゲルアイ - 大好きです。更新待ってます。 (4月9日 21時) (レス) @page37 id: af33028691 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ - 好きすぎます (2月20日 3時) (レス) @page37 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
米粉めこ - 最高です!面白すぎて腹筋こわれましたwww (12月10日 18時) (レス) @page36 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - こういうお話好きです!続き待ってます!!! (2022年9月18日 16時) (レス) id: f16cf667ce (このIDを非表示/違反報告)
遠藤氏(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» 自分も笑ってこようって思いまして、入社試験の回を読もうと思ったらどれが入社試験の回なのかわからず、どうしてこんなサブタイにしたのか後悔してますwww (2022年7月30日 18時) (レス) id: d7905a84e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遠藤氏 | 作成日時:2020年5月13日 20時