虎野郎は語り手じゃない。 ページ32
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今の探偵社の状況を説明します。
まず、僕の上司の与謝野さんと太宰さん。
二人は...、否、与謝野さんは医務室で乱歩さんとお茶をしている。
まあ、余った太宰さんは国木田さんの前で正座している。
また、太宰さんの元カノのAさん(先刻教えてもらった)も国木田さんの前で正座している。
谷崎兄妹は二人の世界を応接間で作っていた。
「...で、何か云うことはあるか?」
機関銃でボロボロになった探偵社の壁。
Aさんを止めるために落とし、原型を留めてない豆腐。
死ぬ気でAさんを止めて、疲れ果て怒っている国木田さん。
「成程。ということは、今までの流れは演技という事だな?」
Aさんは国木田さんから一連の流れを聞き云った。
どうやら、国木田さんから聞くまで本当に何も知らなかったらしい。
.....ちょっと、昔の僕を見ているみたいで辛い。
「まあ、そうだね」
太宰さんは正座しながらも
予想通り、国木田さんの一撃が太宰さんの脳天を貫いた。
「なら、我は首席で探偵社合格だな!」
わなわなと国木田さんの拳が震える。
あ、やばい。
僕は胸の前で十字架を作った。
「___ただの豆腐を爆弾と間違える輩が首席なわけないだろ!」
国木田さんの一撃がAさんの脳天を貫いた。
「それで、我は合格?」
ケロッとした表情で訊くAさん。
あの一撃を物ともしないAさんは相当凄い人なのではないかと思う。
「不合格ではない」
急に後ろからの低い声に心臓が飛び跳ねる。
「しゃ、社長、、!」
カタギではない雰囲気を醸し出してる武装探偵社社長、福沢諭吉。
頭の大切な所はちょっとアレだけど、能力的には群を抜いてずば抜けていると僕は思う。
それも込みで何か策があるのだろうか。
「だが、合格にもできん」
「それはどうしてですか?」
痺れても可笑しくないくらいずっと正座してたのに太宰さんは普通に立ち上がる。
死にまくって感覚鈍ったのかな?
「戸籍がないからだ」
え、?
ええ??
戸籍がない??????
「戸籍がないって本当ですか」
近くにいた国木田さんに耳打ちする。
「や、俺も初めて知った」
国木田さんは目をかっ開いていた。
どうやら、驚いていないのは太宰さんぐらいだ。
「我、もう死んでるから強くない?おっちゃん」
おっちゃん。
……おっちゃん。
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シュピーゲルアイ - 大好きです。更新待ってます。 (4月9日 21時) (レス) @page37 id: af33028691 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ - 好きすぎます (2月20日 3時) (レス) @page37 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
米粉めこ - 最高です!面白すぎて腹筋こわれましたwww (12月10日 18時) (レス) @page36 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - こういうお話好きです!続き待ってます!!! (2022年9月18日 16時) (レス) id: f16cf667ce (このIDを非表示/違反報告)
遠藤氏(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» 自分も笑ってこようって思いまして、入社試験の回を読もうと思ったらどれが入社試験の回なのかわからず、どうしてこんなサブタイにしたのか後悔してますwww (2022年7月30日 18時) (レス) id: d7905a84e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遠藤氏 | 作成日時:2020年5月13日 20時