元カノは覚醒しない。 ページ28
-----
「わわ〜〜、たたたた助けて〜!」
中から中島の声がする。
万が一に備えて太宰が個人で用意していた演技だ。
こんな演技ということがバレバレな演技に引っかかるのはAしかいないだろう。
「太宰、中から助けてという声が聞こえるぞ」
Aは先刻まで誕生日だ誕生日だと騒いでいた奴とは思えないほどの表情で太宰に云う。
初めて任務が成功した日を思い出す。
ああ、あの日は中也の誕生日会(仮)だったっけか、と太宰は優しく微笑んだ。
「阿呆なのかな、はやく助けてあげないと死んでしまうよ」
死ぬわけがない、それは中島もAもだ。
初任務の時も彼女は死ななかった、と云うかAが死ぬなんてありえない。
中也の誕生日ケーキ 今年はAプロフェッショナルでいこう、と心に決めた。
「それは大変だ」
「……太宰、待ってて」
身が震えた。
久しぶりのこの感覚。
久しぶりのこの感情。
久しぶりのこの表情。
Aの全てが太宰の全てを奮い立たせた。
マフィア時代、双黒の隣にずっといたA。
そのAが太宰の彼女だからという理由で隣にいれたワケではない。
彼女自身、二人、否、マフィア全体が圧倒される力を持っていた。
「本当に
「んー、だって中が今危ないでしょ?」
Aは昔からそうだった。
周りが見えていないというよりかは、自分以外しか見えていなかった。
これでは、犯人役が死ぬ。
そう悟った太宰はなんとかしてでも犯人役を守るのに徹底した。
だが、その決意は早急に崩れた。
「たのもー!!!」
Aがデジャブ感満載の登場をすると、扉を開けた先に犯人。
国木田君(変装バージョン)かよ!、と太宰は清々しい笑みで心の中でツッコむ。
耐えられそうにない。
金髪を隠すためにちょっと長め、肩にかかるぐらいのストレート黒髪のウィッグを被り、メガネは外している。
眼が見えないため人を数人殺してそうな鋭い目つきになっているのはナオミプロと与謝野プロが衣装を整備したからだ。
「おぉおぉ、ナオミ!」
兄さながらの妹愛。
国木田(仮)はナオミの首に手を回し、拳銃をナオミに突きつけていた。
勿論、実弾はしっかり装弾されており、人質役はナオミが自主的になった。
理由は『だって、私が危険な時の兄様の表情がたまらなくイイんですわッ!』
妹は最強である。
-----
国木田君はクジ運が悪い。
388人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シュピーゲルアイ - 大好きです。更新待ってます。 (4月9日 21時) (レス) @page37 id: af33028691 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ - 好きすぎます (2月20日 3時) (レス) @page37 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
米粉めこ - 最高です!面白すぎて腹筋こわれましたwww (12月10日 18時) (レス) @page36 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - こういうお話好きです!続き待ってます!!! (2022年9月18日 16時) (レス) id: f16cf667ce (このIDを非表示/違反報告)
遠藤氏(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» 自分も笑ってこようって思いまして、入社試験の回を読もうと思ったらどれが入社試験の回なのかわからず、どうしてこんなサブタイにしたのか後悔してますwww (2022年7月30日 18時) (レス) id: d7905a84e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:遠藤氏 | 作成日時:2020年5月13日 20時