【文スト】 太宰の元カノはアホ過ぎる 【太宰治】

元カノは話が通じない。 ページ20

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眼をキラキラさせ、今にも泣きそうな少年をガン見するA。


此処が路地裏で良かった。

大通りだったら、直ぐにでもAはブタ箱(留置所)行きの切符をゲットしていた。



「我の名は水原A！現在、無職！だが内定は決まりそう！」


Aは完全に怯えきって逃げれもしない少年に云う。



少年、めっちゃ震えてますけど。



「君の名は！？」


某ヒット映画の題名を叫ぶA。



意図的に云ってはいない、無意識だ。無意識。



「ひぇえ…」



顔面偏差値の高い可愛い系女子がやると男受けが高い言葉12位。

少年はそれしか云えない。



「まあ、名前知ってても、少年は少年だ！な！少年！」


「ひぃっ」



完全なる拒絶。

少年の肩をバシバシと叩くAは拒絶にすら気付かない。



「で、迷子だな、少年！」

決めつけるA。


「え、あ、え？」

戸惑う少年。


「そうか、そうか。それは辛かったなぁ。でも、もう大丈夫だ！我がおる！」



また少年の肩をバシバシと叩く。


少年、お前が路地裏を歩いていたのが悪いのではない。

Aが生きている時代に生きているのが悪いのだ。



「いや、あの____」


「よし、まず家を探す前に飯だな！腹が減っては戦はできぬ！」

あーっはっはっはっはっは！、と叫ぶA。



少年。お前が迷子(勘違い)になったのが悪いのではない。

Aに見つからないように生きていないのが悪いのだ。


見習え、通行人を。



「ちょっと、待って____」


「ああ、でも、我、先刻(さっき)入水してきたから札は使えねえ。小銭で収まる処でお願いだ！ま、小銭があったらの話だがな！」

あーっはっはっはっはっは！、と再び叫ぶA。



こんな大人に死んでもなりたくねえ。

少年は恐怖も何もかもを忘れ、何がなんでもそう誓った。




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