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元カノは欲してない。 ページ19

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「太宰、川流れるの飽きた」



川を流れ始めてから十分後、探偵社に入りたいと云ってから八分後、Aは川の流れに従うことが飽きてきた。



「まだ、十分しか経ってないよ」

太宰はそう云い、淡々と流れていく。



「太宰、また後で会おう!」

急にそう云ったAは川の流れに従いながらも、斜めに岸へと向かって泳いだ。



青春時代(今もだが)、アホ(今もだが)な奇行を繰り返していたため、泳ぐなんてちょちょいのちょいである。



「あば………よ、だざ、………い!」



クロールをしながら云う阿呆はコイツしか世界中に存在しないと思う。



「あー、バイバイ」



太宰はそんな奴の相手をしている気力もなく、ただ川を流れ続けた。


この後、太宰とAはそれぞれ別の事件に巻き込まれた。



* * *



川から出たAは途轍もなくびしょ濡れだった。

中原から借りた服の至る端から、水がぽちゃぽちゃと垂れ、歩道に水玉模様を作り出している。



「あぁ〜、服が重いぃいいい」



無理にジーンズパンツを穿いてこなければよかったと後悔するA。

それはただ、後悔するだけで、反省はしていない。


次もやろうとしている気である。これぞ、本当の阿呆である。



「ん〜、これからどうすっかなぁ」



通行人はAのびしょ濡れな服装を見て、サッと目を逸らした。

特に意味はない。ただ、関わりたくないと云う意味を除いて。


Aはそのまま、近くの路地裏への角を曲がった。


別にスリル欲しさに曲がったわけではない。

ただ、ドキドキがあるかなと思ったから、と語っている。


ぐちょぐちょ、とA(中原)のスニーカーが音を出す。



「路地裏は宝庫や……!」



そう云い、目を(つぶ)ってAは路地裏を歩いた。


別にスリル欲しさに目を瞑って歩いているわけではない。

ただ、あわよくばハプニングが起きないかなと思ったから、と語っている。



 ドンッ



目を瞑るAの腹部に鈍痛。



「来た!」

Aは瞬時に目を見開き、痛みが出たところを見た。



「あ、う……すみま、せん」



パッと見、10歳ぐらいの少年。



「路地裏は宝庫や……!」



まだ、Aの誘拐は未遂である。




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元カノは話が通じない。→←元カノは意識してない。



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シュピーゲルアイ - 大好きです。更新待ってます。 (4月9日 21時) (レス) @page37 id: af33028691 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ - 好きすぎます (2月20日 3時) (レス) @page37 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
米粉めこ - 最高です!面白すぎて腹筋こわれましたwww (12月10日 18時) (レス) @page36 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - こういうお話好きです!続き待ってます!!! (2022年9月18日 16時) (レス) id: f16cf667ce (このIDを非表示/違反報告)
遠藤氏(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» 自分も笑ってこようって思いまして、入社試験の回を読もうと思ったらどれが入社試験の回なのかわからず、どうしてこんなサブタイにしたのか後悔してますwww (2022年7月30日 18時) (レス) id: d7905a84e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遠藤氏 | 作成日時:2020年5月13日 20時

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