君に好きだと言いたくて【銀魂】

Aさんの診断結果

第１話.


ひらひらと薄紅色の花びらが地面へと落ちてゆく。


風が穏やかに吹くたびに、少し甘いにおいが鼻をくすぐった。



桜は好きだ。


君が好きだと言っていたから。



それ以上に、桜は君にとてもよく似ているから。




A「総悟くん。部活、始まっちゃうよ？」


沖田「今行きまさァ…」



名前を呼ばれ、急いでAさんの元へ走った。



A「桜、綺麗だね」


沖田「そうですねィ」


A「今日が満開だって言ってたから、晴れてよかった」


沖田「…Aさん、ＨＲ中ずっと外見てぼーっとしてやしたもんね」



ぎくっとした顔をして、頬を可愛らしくピンクに染め、悪戯っぽく笑う。



A「…ばれてたか…つい見惚れちゃって…」



Aさんは立ち止まって桜を見あげた。



A「桜…好きだからさ、毎年咲くのが楽しみなんだ」



暖かい風が、Aさんの柔らかい髪を優しく揺らしている。



沖田「…俺も………です」


A「……え？」


沖田「…いや、なんでも……部活、そろそろ行かねーと土方さんに怒られやす」


A「あ！そうだった！…行こっか！」






……また、言えなかった。






たった二言の、




『好き』って言葉―――。



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