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大阪までの準備期間は五日しかない。
私はいつもはそんなに見ないSNSの中から、美味しそうなものや行ってみたいところを探そうとした。
でも、SNSの使い手たちは、メジャーなところはほとんど紹介せず、新しいお店ばかり。
……普通にベタな観光地に行きたいのに。
「そういうときは、るるぶとかじゃないの？」
工場でアキさんにそう言われた。
「結局るるぶがいちばんだよ。映えとかの店は、2回目以降に行くんだよ。普通の観光はるるぶで十分」
「そうですね。そうしよう。本の方が、探しやすいし」
「それより、あの永瀬って子は大阪の人でしょ？そのまま実家に連れていかれたりするんじゃないの？」
「え…」
アキさんに言われてハッとした。
夏休みに永瀬は私の実家に深夜に突然やってきたけど、
私は永瀬の実家について、何にも知らない。
大阪がホームだって言ってたってことは、実家に行くつもりだったのかな。
………あ…ただの観光旅行じゃ、ないかも…？
急に不安になった。
永瀬の実家なんか、きっとすごいお金持ちだと思う。
日々の生活の中に、育ちの良さが見えるんだよ。
食事のときとか。
私は不安な気持ちのまま、家に帰った。もちろん課長の永瀬が、私より先に家に着いているわけはない。
そのときミーから大量の写真がスマホに送られてきた。
(修学旅行のときの写真、ウケるから見て！)
私たちはクラスに女子が３人だけの工業高校の機械科クラスだったから、一緒に写っている男子はみんな屈強な感じで、特にイカつめの子たちは、修学旅行中でも、周囲を睨みつけながら歩いてたっけ。
「……みんな元気かな…」
この前地元に帰ったときは、ミーとリーに会って、あとは、ミーの旦那さんの友達とリーの彼氏くらいとしか会ってないもんな。クラス会とか誘われても東京にいたから一回も行ってないな…。
写真を見ると若い私たちが笑っている。
ミーとリーはすっごいスカート短くて、鹿のおもちゃ持ってるけど、私はいつもの膝丈スカートだった。
マイペースで生きているのは、昔も今も同じだな、私。
そんなことを思いながら、スクロールしていると
『ただいま』
と、後ろから声がした。
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作者名：あおば
| 作成日時：2025年5月9日 20時
