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日曜の昼下がり。
永瀬と私は相変わらずどこにも出かけずに
ダラダラとふたりでソファに座っていた
「…………あ、」
珍しく私のスマホが、テーブルの上で震えていた。
『お、ミーちゃんからやん』
ミーは、私の高校からの友達で、地元の北海道に住んでいる。
スマホを取ると、なぜかビデオ通話だった。
画面を見ると、映っているのはミーではなくて
ミーの娘のモモだった。
「もしもし？」
「Aちゃん、れん、いる？」
そうだった、モモは永瀬と結婚するって言ってたんだ。
『おるよー！モモちゃん元気？』
永瀬が画面に映り込んだ。
「…………」
あれ。
喜ぶと思ったのに、モモは全然喜んでいない。
むしろ、怪訝な顔をしている。
「モモ、どうしたの？」
「………このれん、いや」
「え、どうして？」
「だって、れん、おひげ、ある」
…………。
日曜の昼下がりの永瀬は、
髭なんか剃ってないし、寝癖もある。
『これはな、おやすみの日だからなんよ。お仕事ある日とかお出かけする日は、ちゃんとかっこよくしとるで』
「やだ、れん、おひげ」
モモは今にも泣きそうな顔で、画面にうつっていた、
「モモ、ママは？ママどこにいるの？モモ、勝手に電話してるの？」
「ママいるよ。ママと写真見てたの。それで、Aちゃんのこと思い出して、れんにあいたくなったの」
永瀬は私の横でデレデレしている。
っていうか、女の子って、生まれたときから女の子なんだね。すごいね、モモ…
そうこうしているうちに、画面にミーがうつった。
「あー！やだ！もうモモかけてたの？Aごめーん！今洗濯物取り込んでて、それが終わったらかけようと思ってたの。ってか、モモ、なんで不貞腐れてんの？」
「れん、おひげ…」
「え？髭？髭は、はえるの、男は。パパもあるでしょ」
「やだやだ、れんかっこよくない、おひげいや」
永瀬はいたたまれなくなって、洗面所に向かった。
きっと、髭剃るんだろうな笑
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作者名：あおば
| 作成日時：2025年5月9日 20時
